元カレ・コレクション Vol.11

「仕事と私、どっちが大事?」その一言を放つ前に、女が考えたこと

20代後半、アラサーの仲間入り。周囲では申し合わせたように突然、第一次結婚ラッシュが訪れはじめる。

しかし当然、その波に乗り切れない者だって多くいるのだ。

結婚するのに早すぎる歳ではないが、言ってもまだ20代。微妙な年齢であるがゆえの「もっとイイ男がいるかも…」という、悪魔の囁きに翻弄される女たち。

主人公・杏里も、なんとしてでも結婚ラッシュに乗りたいと思うものの、なかなか決断ができず、現れる男とはことごとくうまくいかない。

そんな杏里の五人目の「元カレ」とは…?

◆これまでのあらすじ

杏里は30歳の医師・戸倉俊介と付き合うことになるが、交際が始まったばかりの良い雰囲気のデートでも、彼は仕事に戻ると言って去ってしまった。

そして2019年2月。せっかく恋人ができたというのに憂鬱な気持ちを抱える杏里だが…。


「はあ…」

駅のホームで電車を待ちながら、杏里は深いため息をついた。

ー付き合えて嬉しい気持ちになってたのは、私だけ…?

付き合うことになった当日の夜さえも、俊介は食事を終えるなり、当然のようにさっさと職場へと戻っていったのだ。

どこか晴れない気分のまま、ふと顔を上げる。

ーそういえば、次に会う日の約束もしてないや。

前回のデートから今日までのやり取りを思い返すと、またしばらく俊介からの連絡を待つことになりそうだ。

杏里はスマホでカレンダーのアプリを開くと、あることを思いついた。

「来週、バレンタインだ。これを口実に誘ってみよう…!」



そして迎えた、2月14日。運良く俊介の予定も合い、杏里は用意したチョコの紙袋を持っていそいそとデートへ向かう。

ー喜んでくれるといいな。

車や持ち物にこだわりがありそうな俊介に、どんなものを贈ったら喜んでくれるだろうと散々悩んだ。

考え抜いた挙句、無難ではあるが、フランスから日本上陸したことで一時話題をさらった高級ブランドのチョコを用意したのだ。

「俊介さん、これどうぞ。今日バレンタインなので」

「おお!嬉しいな、ありがとう。これ、ずっと食べてみたかったところのチョコだ」

「本当ですか、よかったです。悩んだ甲斐があったなあ」

さすが、ふとした時の一言にも気が利いている。彼の反応に、杏里も嬉しくなった。

「そうだ、じゃあ、来月はホワイトデーしようね。わりと俺、そういうイベント系ちゃんとやりたいタイプだから」

「やった、楽しみにしてますね」

ーイベントごとや記念日も、大事にしてくれる人なんだな。

その言葉通り、俊介は1ヶ月後にはしっかりとホワイトデーのデートをしてくれた。

ここのところ彼の仕事も落ち着いているようで、二人は1週間に1回のペースで会い、交際は順調に進んでいるように思えた。

ある出来事が起こるまでは…。

【元カレ・コレクション】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo