天秤女~恋は同時進行で~ Vol.10

「他の男に抱かれたくせに」。数多の男を手玉にとる美女が、奈落の底に落とされた瞬間

最高の相手と結婚したい。誰もがそう思うだろう。

ときめき、安定、相性の良さ…。だけど、あれもこれも欲張って相手を探していると、人生は瞬く間に過ぎていくのだ。

「婚活は、同時進行が基本でしょ?」

そんな主張をする、強欲な女・与田彩菜。

―選択肢は多ければ多いほうがいい。…こっそり誰にもバレないように。

彼女は、思い通りに幸せを掴めるのか…?

◆これまでのあらすじ

彩菜は、経済力のある彼氏・直人一目惚れした仕事仲間・蓮相性抜群の友人・大輝と同時進行で交際し、ベストパートナーと結婚するつもりだ。

ついに蓮に別れを告げた彩菜は、直人と大輝に候補を絞った。しかし直人に同時交際がバレて「大輝に会わせろ」と迫られる。


「そっか…。直人さんにバレたんだ…」

電話越しに、大輝の深いため息が聞こえてくる。

2020年になってまだ1時間も経っていない。自分の家に帰ってきた彩菜は、即座に大輝に連絡を入れ、困り果てた事情を説明した。

「ごめんね。巻き込んじゃって」

「ううん。いいよ。いつかこうなる日が来るんじゃないかと思ってたから」

大輝は気丈な口調で言った。

「それで、今は直人さんの家にいるの?」

「私の家に帰ってきた。さすがに一緒にいられなくて…」

最悪な年越しだった。なにしろその瞬間は、自宅に戻るタクシーの車内で迎えたのだ。

「でも、どうして直人さんは、俺のことに気づいたわけ?」

「私が大輝にLINEしてるのを、後ろから見ちゃったんだって。それで大輝って名前を覚えたみたい」

「なんだよ、そのミス」と大輝は吹き出した。

大輝の笑い声が聞こえて、心が少しだけ落ち着く。

「ねー、ホント最悪。ホントごめんね」

LINEのやり取りを盗み見た直人から「自分と同棲して毎晩一緒に過ごすか、大輝と会わせるか」の二択を迫られた。

だが同棲するわけにはいかない。同棲すれば天秤恋愛が不可能になり、大輝とは別れるしかない。

もはや「直人」か「大輝」か選ぶ段階にきている。

だが、彩菜の答えはすでに出ていた。

大輝だ。

「だから申し訳ないんだけど、直人に会ってほしいの」

すると、電話越しの大輝は押し黙った。

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