最高の相手と結婚したい。誰もがそう思うだろう。
ときめき、安定、相性の良さ…。だけど、あれもこれも欲張って相手を探していると、人生は瞬く間に過ぎていく。
東京に流れる時間は、待ってはくれないのだ。
与田彩菜も、運命の相手を見つけるため、婚活に励む女のうちのひとりだ。彼女には、こんな持論があった。
「婚活は、同時進行が基本でしょ?」
—良くないこととはわかっているけれど、選択肢は多ければ多いほうがいい。…こっそり誰にもバレないように。
そんな主張をする、強欲な女。彼女は、思い通りに幸せを掴めるのか…?
大人になってから「実は血液型が違っていた」という話は、たまに聞く。
与田彩菜は、実際にそういう先輩を知っている。
幼少時にB型だと教えられ、ずっとB型らしくふるまっていたのに、初めての婦人検診の結果、本当はA型だと判明し、人生を見つめ直した先輩だ。
ーだけど、A型らしいとかB型らしいという考えが好きじゃないわ。血液型占いも星座占いも、当てにならないし。
彩菜はそんな風に斜に構えていたが、あるとき、彼女の考えを覆すような意外な出来事が起こったのである。
◆
「え、私って…天秤座だったの!?」
本屋の雑誌コーナーで、彩菜は思わず声を上げた。
26年生きてきて、星占いをチェックしたことはもちろんある。だが今年の仕事運も、今月の恋愛運も、今日のラッキーアイテムも、当たったためしがない。
というわけで彩菜は、星占いを全く信じていなかった。
だが、デートの待ち合わせまで時間に余裕ができて入った本屋で、偶然見かけた雑誌。何気なく手に取り、パラパラとページをめくっていたところ、星占いの特集が目に飛び込んできたのだ。
11月1日生まれの彩奈は、本来さそり座だ。だがその占いによると、11月1日生まれは、天秤座だとハッキリ書かれている。
ーえ??なんで?そんなはずないし…。
血液型ならともかく、大人になってから「星座が違っていた」という話は初めて聞いたし、ありえないだろう。
怪訝に思いながら特集の見出しをよくよく見ると、「13星座占い」と書かれていた。
13星座占いとは、さそり座と射手座の間に“へびつかい座”が存在しているという説で、11月1日生まれはさそり座でなく、天秤座になる。正確にはそこでは「新天秤座」と呼ばれていた。
さらに占いは、ウソのように彩菜の人間性や人生の出来事を言い当てている。
『2月に恋が終わり、9月に恋が始まる』
ーウソでしょ…。大正解…。前彼と別れたのが今年の2月。今彼と付き合い始めたのが9月。
まさにドンピシャだ。
しかも彩菜の心に寄り添ったようなアドバイスまで書かれているので、気づけば、本屋で涙を流していた。遅れてやってきた彼氏もギョッとしていた。
ーダメよ。私は占いに翻弄されるような人間じゃないのよ。
周りを見渡せば、あらゆる女子が占いに頼っているが、その結果幸せを掴んだ人を一人も知らない。自分はそんなバカな女じゃない。そう思っているけれど…。
「私は天秤座だった」
その事実は、ふんぎりのつかなかった彩菜の背中を押してくれる。
ずっと心の中だけで温めてきた"ある計画"を「実行に移すがよい」と神様が言ってくれている気がした。
ー天秤座の女だからこそ、あの計画をやってもいいのかも…。
この記事へのコメント
同時進行で解決するのかな…
話を聞いたとき、ちょっぴり複雑な気持ちになったのを覚えています。
23歳から27歳までつきあった人がプロポーズ直後に極度のマザコンと分かり別れ、27歳から28歳まで一年つきあった彼はまさかのマッチングアプリで遊びの女を漁っていたのを知り別れました。
もうまた数年付き合って見定めて30歳目前でふりだしに戻るのが嫌で、同時進行しています。相手には申し訳ないですが、誠実に生きて損するのは自分です。
一途に一人の彼氏を愛するも結婚しても...続きを見るらえず5年つきあって34歳からふりだしに戻った先輩見てそう思いました。