僕のカルマ Vol.12

「自分は勝ち組」と調子に乗り、家庭を顧みなかったエリート男の末路。「僕のカルマ」全話総集編

世の中は、弱肉強食の世界だ。

特に、この東京で生きる男たちにとっては。

皆、クールな顔をしながら、心に渦巻くどす黒い感情を押さえつけるのに必死だ。

弁護士としてのキャリアを着実に重ねる氷室徹(34歳)は、パートナー目前。年収は2,000万を超える。圧倒的な勝ち組と言えるだろう。

しかし、順風満帆に見えた彼の人生は、ある同級生との再会を機に狂い始めていく。

思い上がり、嫉妬、嘘、過ち、復讐…。

一体何が、彼の人生を破滅させる引き金となったのだろうか。

「僕のカルマ」一挙に全話おさらい!

第1話:自分は勝ち組だと思い上がっていた、年収2,000万超えの男。彼の人生が狂い始めた日

「氷室さん、次の人事でパートナーだってよ」

氷室が自分の部屋へ戻ろうとしていると、廊下からそんな声が聞こえた。

今年入所したばかりの新人アソシエイト達が、エレベーターを待ちながら話しているらしい。

「凄すぎじゃね?確か、俺らと10歳くらいしか離れてないじゃん」
「そうだっけ。いずれにしても若いよな。パートナーとか絶対無理だわぁ」

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第2話:「地味で冴えなかった同級生が、社長に…?」オフィスの住所で勝ち負けを競う、男の焦り

思い出されるのは、20年も前の記憶。氷室が同級生である堀越に初めて話しかけたのは、好きなゲームが同じであることがきっかけだった。

なぜそれが発覚したのか、記憶が曖昧だが、確か堀越の机の上に雑誌が広げられていたような気がする。それがゲーム専門の雑誌で、氷室も好んでいたタイトルが見開きで特集されていたのだった。

「あ、うん。氷室くんも好きなの?」

堀越という少年は、見た目に違わず、いわゆるオタクで地味な存在だった。

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第3話:「実は僕、先生に…」。かつての同級生が明かした、34歳エリート男の信じられない過去

氷室はずっと打ち合わせをしていてメールチェックが出来ていなかったが、どうやら重要なメールが入っていたらしい。宮瀬がいつものようにプリントアウトしておいてくれたようだ。

−堀越からか。

噂をすれば、である。宮瀬とやりとりをしているその相手は堀越であった。しかし、読み進めていくと所々に不穏な表現がある。

“要件を洗い直し”“貴所のみならず別事務所にも問い合わせ”“社内で慎重な検討を重ねました結果”

そしてトドメを刺したのは最後の一文であった。

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第4話:妻を置き去りにし、夫はホテルで一夜を…。順調だったはずの夫婦に訪れた悲劇とは

「氷室君。彼は、君から暴行を受けていたとのことだよ」

五反田から帰ってきたばかりの上司・大川の個室で、氷室は呆然と立ち尽くしていた。

「…今、何と…?」

聞き間違いだろうか。そう思い、氷室は咄嗟に聞き返してしまった。15分ほど前、大川が堀越の事務所から戻ってきたときにはすでに、その渋い表情から案件が頓挫したことは悟っていた。

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第5話:「あの場所が、僕のシェルターだった」。今をときめく社長の原点となった、壮絶な出来事とは

教室にいるのが嫌だった堀越は、昼休みなどは図書館に出向いて本を読むか、寝ることにしていた。

この時期読んだ本が、堀越をプログラミングの世界に引き込むことになるのだから、人間万事塞翁が馬と言えるだろう。

図書館にはかなり口うるさい司書の女性がいたため、さすがにあのグループの連中も寄ってこなかったのだ。

しかしある日、堀越が寝ていると、背中にちくり、と痛みが走った。遠くに数人の笑い声が聞こえる。何か背中に投げられたらしい。堀越が床に目を落とすと、そこに転がっていたのは、画鋲だった。

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第6話:「どうか私をお使いください…」。エリート男の理性を狂わせた、禁断の相手とは

今朝のオフィスは、氷室にとって居心地のいいものではなかった。

いつもであれば、「おはよう」といえば「おはようございます!」と快活に挨拶を返してくる新卒のアソシエイトも、「あっ」と声を発してから、「おはようございます」と続ける。

気にしすぎだろうか。首を捻りながら、氷室は自分の席までの歩みを進めるが、よそよそしい同僚の態度を見てその疑念は、ほぼ確信に変わっていった。

堀越との案件の頓挫についてだろう。今となっては後悔しているが、学生時代の直の知り合いということで“失敗など有りえない”と周囲には吹聴していたのだ。

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第7話:「彼女を見る目が変わった…」。秘書の女と一晩過ごした男の、胸の内とは

「今日はブラックコーヒーの気分ですか?それともカフェラテ?」
「…じゃあ、ブラックで」

彼女は、氷室が気分によってブラックコーヒーとカフェラテを変えていることを把握しているらしい。宮瀬は氷室のことをよく観察しているというのに、氷室は宮瀬のことなど何も知らない。

−よくよく考えてみたら、仕事周りの人間との関わり方なんて、昇進に関係なければどうでも良いと思ってたな。

そんなことを考えながらオフィスに入ると、氷室をある人物が出迎えた。

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第8話:「彼女は、心のオアシスなんだ」仕事に勤しむエリート男が、本能で取ってしまった行動

氷室は、堀越とのことはさっさと忘れて、次の仕事に取り掛かることにした。目の前のことに集中して成果を上げてみせると、そう決意したのだ。

宮瀬に書類を渡し、一休みしてから自分のオフィスに戻ろうとしたとき、私用携帯が鳴った。電話をかけてきているのは、妻だ。

−またか…。

それまでも大量の着信やメッセージがきていることは分かっていたが、今は返す気になれなかった。

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第9話:「まさか、妻のしわざ…?」エリート夫を震え上がらせた、写真付きのメール

−誰だ…?

見知らぬフリーアドレスから送られたそのメールは、件名もなく、迷惑メールのようにも見える。

普段なら開かずに削除しているところだが、パートナー昇格の件でひどくショックを受けていたからか、今日に限ってうっかり開封してしまったのだ。

−な、なんだこれは…。

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第10話:リビングに、不穏な物が…。34歳エリート夫の行為に、姿を消した妻からの仕打ちとは

「メールの件だが」

部屋に入るなり大川からそう切り出された氷室は、「申し訳ありませんでした」と深く頭を下げた。そして、宮瀬とは慰労の意味で食事に出かけたことを認め、自分の行動が浅はかだったことも謝罪したのだ。

「ううむ…」

氷室の謝罪を聞いた大川は、険しい顔で黙ってしまった。弁明しようとも、この場においては全く意味がないということは、氷室も察していた。

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第11話:「もしかして、ハメられてた?」美人秘書と火遊びした弁護士の男に、下された天罰

妻も“結婚するとは思っていなかった”というが、それは氷室も同じだった。

大学時代にインカレのサークルで知り合って、付き合って、特に別れる理由もなかったため別れなかっただけ、と言えるような関係だった。

身を焦がすような大恋愛ではなかったが、居心地の良い関係。結婚とはこういうものなのだろうな、と思った。

だが、そんな居心地の良さや安心感が、目の前から消え去ろうとしている。自分にとって、妻や子ども、家族とは何だったのだろうかと、氷室は虚しい気持ちになった。

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