僕のカルマ Vol.2

「地味で冴えなかった同級生が、社長に…?」オフィスの住所で勝ち負けを競う、男の焦り

世の中は、弱肉強食の世界だ。

特に、この東京で生きる男たちにとっては。

皆、クールな顔をしながら、心に渦巻くどす黒い感情を押さえつけるのに必死だ。

弁護士としてのキャリアを着実に重ねる氷室徹(34歳)は、パートナー目前。年収は2,000万を超える。圧倒的な勝ち組と言えるだろう。

しかし、順風満帆に見えた彼の人生は、ある同級生との再会を機に狂い始めていく。

思い上がり、嫉妬、嘘、過ち、復讐…。

一体何が、彼の人生を破滅させる引き金となったのだろうか。

◆これまでのあらすじ

クライアントとの食事中、奇遇にもかつての同級生・堀越に遭遇した氷室。「懐かしいな」と声をかけると、堀越は涙を見せた。混乱する氷室だが…?


「お前もこれ、好きなんだな」

思い出されるのは、20年も前の記憶。

氷室が同級生である堀越に初めて話しかけたのは、好きなゲームが同じであることがきっかけだった。

なぜそれが発覚したのか、記憶が曖昧だが、確か堀越の机の上に雑誌が広げられていたような気がする。それがゲーム専門の雑誌で、氷室も好んでいたタイトルが見開きで特集されていたのだった。

「あ、うん。氷室くんも好きなの?」

堀越という少年は、見た目に違わず、いわゆるオタクで地味な存在だった。

一方の氷室はといえば、当時花形だったバスケットボール部でエースとして活躍し、 3年の時にはキャプテンを務めていた。

また、生徒会にも入っておりいわゆる目立つ存在だ。自慢じゃないが、バレンタインなんかもチョコレートを持って帰るのが大変なほどだった。

スクールカーストなんて下世話な話題をこの年齢になってするのもどうかと思うが、「社会の縮図」とも言われることもある中学校の人間関係においては、それは明確に存在していたように思う。

現に記憶の中での堀越は、同級生である氷室を“君”づけで読んでいるし、その瞳の中には「話しかけられて嬉しい」反面、「何を言われるかわかったもんじゃない」といった恐怖も覗いていた。

オタクであることも含め、からかったことがないわけではない。だが少なくともこの時は、堀越という少年と純然に屈託のない会話を交わしていたと、氷室は思う。

だから、なぜ堀越が過去のことを思い出して涙を流すのか、全く想像出来なかった。

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