2020.01.02
美女失脚 Vol.17「女の価値は、顔でしょ?」
恵まれたルックスで、男もお金も思い通り、モテまくりの人生を送ってきた優里・29歳。
玉の輿なんて楽勝。あとは、私が本気になるだけ。
そう思っていた。
だが、30歳を前に、モテ女の人生は徐々に予想外の方向に向かっていく…。
2020年も頑張りましょう。昨年2019年のヒット小説総集編、「美女失脚」一挙に全話おさらい!
第1話:女の価値は、顔でしょ?玉の輿目前だった超絶美女の人生が、狂い始めた夜
−やばい、もうこんな時間。そろそろ行かなくちゃ。
今夜のお相手は、今持っているカードの中でも優先順位トップの弁護士・清宮隆一。隆一と会うのは今回で3回目だ。初デートで脱落する男性がほとんどの中、見事3回目のデートに駒を進めた隆一には、優里もそれなりに気がある。
家柄も年収も申し分なく結婚歴もない隆一は、後退気味の頭が玉にキズだが、まあ、結婚相手としては悪くない。隆一とだったら付き合っても良いかなと思っていた。
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第2話:後悔しても、もう遅い…。恋人候補にも挙がらなかった男が隠していた、衝撃の正体とは
「こちら、瓜生康一郎(うりゅう こういちろう)。小学校からの同級生なんだ」
涼介に紹介された康一郎は、ペコリと頭を下げた。聞けば、二人は、裕福な家の子息が通うことで有名な男子小学校の同級生らしい。
「おい、涼介。そろそろケーキ出せば?お前が作ったやつ」
康一郎の呼びかけに、涼介は「そうだな」と言ってキッチンへ消えていった。ケーキを作るなんて、随分かわいらしい趣味をお持ちなのね、と思いながらその背中を見送る。しかし、その背景には、とんでもない真実が隠されていたのだ。
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第3話:政治家一族の御曹司とゴールイン!?浮かれる美女が受けた、屈辱的なオファーとは
「瓜生事務所の者ですが…」
16時。訪問者も減ってきて、あと少しで仕事も終わりだとホッとしていた時。
受付のカウンターに座る優里の目の前に、政治家一族の御曹司・瓜生康一郎が現れた。
−本当に来るなんて…!
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第4話:「君程度なら、セカンドで十分」ハイスペック男子が、本命女に求める条件とは
―どうせ元々は根暗な男が、チャラいと言われたくてイキっているのね。イタいわ…
中二病継続中、社会人デビュー男なんかお断りだ。が、しかし。
−もしかして、私の需要って、こんなレベルの男なの…?
最近、立て続けに悲劇が起こったこともあり、絶望的な気分に陥る。それはついこの間のこと。人生で最悪と言っていいほど屈辱的な夜を、優里は思い返すのだった。
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第5話:「今の契約をもって、終了に…」表舞台から引きずり降ろされた、29歳女の非情な運命
優里たちが働く広告代理店の受付は、顔採用で有名なのだ。奈央も抜群のルックスを活かし、雑誌の読者モデルをやっている。
奈央とは、タワマンでのホムパや経営者との食事会に一緒に参加してきた仲だ。
メーカーの研究職といえば、安定はしているが、年収は良くて1,000万。もっと良い男を狙えるはずなのに、諦めるなんてもったいない。
すると、奈央は思いもよらない言葉を口にしたのだ。
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第6話:「経験ナシ、資格ナシ」外見だけで生きてきたアラサー女の、残酷すぎる市場価値
急いで帰宅した優里は、デートのキャンセル連絡を入れ続けている。とりあえず2週間、予定を空っぽにするためだ。キャンセル連絡をするかたわら、次の勤め先を探していた。
−経理グループなんか、絶対に考えられない!
経理グループへの異動は嫌。受付から離れるのも嫌。これが、転職を決意させた理由だ。
−さっさと転職しなくちゃ。売り手市場って聞くし、楽勝でしょ。
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第7話:「可愛いだけでは通用しない」。美女のプライドをへし折った、地味女の強烈な一言
−世界的にシステムエラーでも起きてるのかしら…?
生身の男性からのお誘いが一通もないなんて、大規模な通信障害が起きているに違いない。そう思って検索してみるが、そんなニュースは、世界中のどこにも存在していないようだった。
優里が首を傾げながらスマホを見つめていると、画面に新着メールの通知が表示された。メールも特に問題はなさそうだ…と、ほっとしたのも束の間、受信箱を開いた瞬間「ひぃっ」と声を上げた。
勝俣から、次回の面談連絡が届いていたのだ。
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第8話:「こんな地味な女が、何故ウケる…?」勘違い美女が、29歳にしてようやく悟った現実とは
正直、こんな地味な女が面接官の記憶に残るのか不安だが、これらは勝俣のアドバイスによるものだ。
彼女によれば、優里が受ける一般社団法人の理事長は元メガバンクの会長で、組織も銀行出身者が多いらしい。銀行業界は、いまだに服装のガイドラインが厳しく、一目でわかるブランド品や“派手なもの”が大嫌い。
“地味”や“無難”という言葉は、優里の大嫌いな単語だが、勝俣からしつこく服装について念を押されたため、しぶしぶ従った。
−そろそろ行こうかしら。
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第9話:「奥さま業もバッチリ♡」浮かれる美人秘書が、出勤初日に財界のドンを激怒させたワケ
新たな勤務先は非常に小さな組織。常駐しているのは、事務局の北村と三谷、そして庶務担当の丸山の3人だけらしい。理事長の大野は、外部で人と会ったり、色々と活動しているため不在も多いとのこと。
あの汚部屋…理事長室は、事務局部屋の隣にある。用があれば秘書に電話してくるが、あとは部屋に篭っているという。
「さっ、理事長のところに行きましょ!」
丸山に連れられ、優里は改めてあの部屋へと向かった。
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第10話:「タクシーは乗らない」地味な“富裕層”の日常。その裏に隠された驚きの趣味とは
あまりの惨状に誰も手をつけたがらないのだろう。掃除したらきっと喜ばれるはずだ。
昼休みを早めに切り上げると、早速片付けに取り掛かる。机やソファ、ありとあらゆる場所に散乱した書類や新聞、植物図鑑の整理整頓から始めた。
−2010年!?そんな昔のパーティー招待状なんか絶対に要らない。捨てちゃってOK!
シュレッダーにかける書類を段ボールにガンガン放り込んでいく。不要なものばかりなので片付けは順調に進んでいった。が、しかし。優里はこの時、自分の“善意”が、再び逆鱗に触れるとは思ってもいなかったのだ。
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第11話:焦って男たちを誘いまくる女。30歳目前で、彼女の前に現れたイタすぎる男とは
−ヨロピクなんて使う人、久しぶりに見たわ。
ところどころにある謎のカタカナ、イタ飯という表現、そして最後の顔文字。かなりツッコミどころ満載である。それにしても、イタめなLINEと、本人のギャップに苦笑いが止まらない。
だって、普段の彼は、バカみたいに丁寧な敬語で、「えー」とか「あー」を連発させながら自信なさそうにボソボソ話す。はっきり言って、根暗っぽいのだ。
とりあえずLINEを見なかった振りをしようと、ゆっくり目を閉じる。そして、このありえない男と出会ってしまった、昼間の出来事を思い返した。
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第12話:「お試しで、俺とどう…?」31歳で恋愛経験ゼロの男。モテ女が受けた、とんでもない提案とは
平成と令和。突然変わった時代の風向きに、理解が追いつかないのだ。
しかし考えてみれば、昭和と平成を比べてみても、時代はかなり違う。ボディコンワンピに肩パッドのイケイケ女性が流行っていた昭和に対し、平成は、ゆるふわ、ナチュラル、ふんわり系が持て囃されていた。
−まさか…私のモテ期って平成で終わったの!?
突然のモテ期終焉に、信じられない気持ちでいっぱいである。半ば自暴自棄になりながら、枕に顔をぎゅーっと押し付けると、スマホがピコーンと鳴った。
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第13話:「この関係って、一体何なの…?」男と朝を迎えてしまった女が、翌日目の当たりにした光景とは
−バレませんように…。
オフィスに到着した優里は、すぐさまロッカールームへと向かった。予備で置いてある白のジャケットを羽織る。この暑い中、ジャケットなんか着たくないが、昨日と同じ洋服ということがバレないようにするためだ。
冷房が苦手で…などと、それっぽい理由を言っておけば大丈夫だろう。今朝は、いわゆる朝帰り。武藤の部屋からオフィスへ直行したため、着替える時間がなかったのだ。
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第14話:「彼になら、どんな姿もさらけ出せる…」。相手にしていなかったはずの男に、心を奪われてしまった女
「今日はノー残業デーだったからね。ベルサッサしてきたんだ。いやー、この時間帯のスーパーは激混みだね」
大量の食材を抱えて登場した武藤は、笑顔でそんなことを言っている。
「あ、ありがとう…。ところで、ベルサッサってなに?」
ビニール袋から食材を取り出している武藤に、おそるおそる聞いてみる。すると、彼は目を大きく見開き、木綿豆腐を持ったまま固まった。
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第15話:モテてるつもりが、男たちに遊ばれていた…。「落ちぶれた」と言われる美女が、ダサ男を選んだワケ
“今後のスケジュールなんだけど…”
“このままだと、同じタイミングで大丈夫そう…”
武藤から、今後の日程や詳細についての連絡が次々と入ってくる。優里は、それらをどこか他人事のように眺めていた。すぐに返信する気にはなれず、スマホをそっと裏返す。
その後、既読はついたのに返事をしないことを不審に思った武藤から電話がかかってきたが、今日はどうしても話す気になれない。心配する彼から何通も連絡があったが、そのまま放置した。
−今は一人になりたい…。
第15話の続きはこちら
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