―結婚―
それは、愛し合う男女が二人で新しい家庭を築くこと。
だがその儚い幻想が、見事に打ち砕かれたら…?
女は生まれ育った家を、それまでの人生を捨て、嫁ぎ先に全てを捧げる。結婚と同時に“家”という呪縛が待ち受けているのだ。
奇妙な風習、監視の目、しきたり、そして義家族たちの薄笑い…。
夜な夜な響くその声は、幸せでいっぱいだったはずの新妻の心を蝕んでゆく。
―逃ゲヨウトシテモ無駄ダ…
看護師の岡林沙織(26)は、恋人の清川宗次郎(28)からプロポーズを受け、1年の交際を経ていよいよ結婚することが決まった。
だが姑からの婚礼衣装は姑の物を引き継ぐこと、夫の帰宅は毎日玄関で出迎えること、また第一子は男児であることなど、さまざまなしきたりに苦しめられるのだった。
―一刻も早く、宗次郎と会って話さなきゃ…。
「男児を生むために“月のもの”の周期を教えて欲しい」
沙織は義母の発言に恐怖を感じ、思わずその場から逃げ出してしまった。
できれば同居は避けたい。宗次郎に会って、そう伝えようと考えていたのだった。
◆
宗次郎と......
この記事の続きは月額プラン会員への加入、
またはアプリでコイン購入をすると読めます
またはアプリでコイン購入をすると読めます
この記事へのコメント
俺の家は普通じゃないんだよな、と言いつつ、しれっと占いで決めるからって、やっぱりこわいです。