200億の女 Vol.11

「こんなに笑ったの、いつ以来…?」人妻が、夫以外の男と過ごし、解放感に酔いしれた夜

騙されたのは女か、それとも男か?
「恋」に落ちたのか、それとも「罠」にはまったのか?

資産200億の“恋を知らない資産家の令嬢”と、それまでに10億を奪いながらも“一度も訴えられたことがない、詐欺師の男”。

そんな二人が出会い、動き出した運命の歯車。

200億を賭けて、男と女の欲望がむき出しになるマネーゲームはやがて、日本有数の大企業を揺るがす、大スキャンダルへと発展していく。

男が最初の駒に選んだのは、令嬢・神崎智(かんざき・とも)の部下だった。智はジワジワと追い詰められたように見えたが簡単には騙されず…平穏な日々が戻るかに見えた。しかし、智の夫の秘密が詐欺師に再びチャンスを与え、詐欺師が勝負をかける日がやってくる。

仕事の大舞台でのトラブルを詐欺師に救われた智は、お礼を兼ねて、男をある場所に誘ったが…。


「まだ、気にしてるんですか?俺の車で寝ちゃったこと」

クスクスと笑いながらそう言った小川さんが、必要以上に屈託なく見えてとまどってしまう。からかうような口調なのに、さっきまで感じていた意地悪さ、得体の知れなさのようなものを感じないのはなぜだろう。

―よく知らない人の運転で眠るなんて。

ここに到着し、目が覚めた時の事を思い出す。

低く穏やかな、着きましたよ、という声で、まどろみから揺り起こされ、ぼんやりとしていたピントが小川さんの顔に合った瞬間、視線がぶつかり覚醒した。小川さんの車で、助手席で眠ってしまったのだと気がついた時の気恥ずかしさったらなかった。

―夫の運転でさえ、こんなにぐっすり眠ったことがないのに。

ふと、夫のことを思い出したことで、頭の中に裏切りというワードが浮かんでしまったけれど、それには気がつかなかったことにして、対面に座る小川さんにもう一度謝った。

「ここまで1時間近く運転させて、しかも眠ってしまってすみません」

「仕方ないですよ。きっとここ数日まともに眠れてなかったんじゃないですか?俺は、こんな特別な場所に連れてきてもらえただけで、ラッキーです」

そう言いながら小川さんは、薄暗い室内、その周囲を見渡した。ここは、父が建てた小さな宿泊施設で、私たちはそのBARにいる。

とは言っても一般に貸し出されているわけではなく、特別なお客様を招いたり、私たち家族や親族だけが使う別荘のようなもので、関東有数の温泉地であること、ゴルフ場が近くにあることから父が選んで建てた場所だ。

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