200億の女 Vol.10

「もう、あなたの前には現れません」駆け引きに慣れた男が使う、女心を揺さぶるテクニック

騙されたのは女か、それとも男か?
「恋」に落ちたのか、それとも「罠」にはまったのか?

資産200億の“恋を知らない資産家の令嬢”と、それまでに10億を奪いながらも“一度も訴えられたことがない、詐欺師の男”。

そんな二人が出会い、動き出した運命の歯車。

200億を賭けて、男と女の欲望がむき出しになるマネーゲームはやがて、日本有数の大企業を揺るがす、大スキャンダルへと発展していく。

男が最初の駒に選んだのは、令嬢・神崎智(かんざき・とも)の部下だった。智はジワジワと追い詰められたように見えたが簡単には騙されず…平穏な日々が戻るかに見えた。しかし、智の夫の秘密が詐欺師に再びチャンスを与え、詐欺師が勝負をかける日がやってくる。

智が仕事での大舞台を迎える夜、2人の関係が大きく動き出す…?


―小川さん…。

待っているかもしれないと予想はしていたけれど、今、一番見たくなかった男。その男が運転席から降り、私の目の前に立つ。

タキシードを脱ぎ、ラフな私服に着替えた彼は、言った。

「大成功でしたね。お疲れ様でした」

その能天気な笑顔に、数時間前に殺したはずの苛立ちが…どうすることもできず、こみ上げてきてしまう。

そう、数時間前。

認めたくはないけれど…私がどうしても勝ちたかった今日というこの日、この場所で。よりにもよって、この彼に助けられてしまったのだ。



ー3時間前ー

「2番テーブル、3番テーブルのお客様、着席完了です」

「今、最後の12番テーブルのお客様、リムジンから降りられました。これで全てのお客様が会場に入られたことになります」

我が社、兼六堂の新商品お披露目パーティーの開演まで、あと15分。

スタッフ用の無線から流れてくる、各部署の報告が慌ただしくなってきた。パーティーの進行は専門の広告代理店のスタッフに任せているため、何かトラブルが起きない限り、私の出番はないだろう。

そう思った時、父が近くのスタッフを、手を挙げて呼ぶのが見えたかと思うと、イヤフォンから、神崎さん、と私を呼ぶ声が聞こえてきた。

「社長が、話したいことがあるそうです。今、いかがでしょうか?」

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