港区モード Vol.11

東京男の品格:女に“自信を持たせる”ことができる男と、できない男の、圧倒的な差とは

港区には、モードな男たちが多数出没する。

スタイリッシュで、品があり、上質なファッションを纏う『港区モード』な男たち。彼らが街を歩けば、そこにドラマが生まれる。

この連載では、『港区モード』な男を目撃した人々に起こる、小さなドラマを紹介しよう。

これまで、「最後の男」「One day」で港区に住む様々な人の物語を紹介してきたこちら。

先週は、自分で自分のことを満足させられる男の品格を紹介した。今週は…?


「私ね、今日彼と別れてきた」

25時、西麻布の『イルバール』 で、男友達の涼平に報告した。

金曜深夜の呼び出しにも関わらず、いやいやながらもこうして駆けつけ話を聞いてくれる涼平は、私の最後の拠り所だ。

涼平と私は、学生時代に3ヶ月だけ付き合っていた。

普段は別れた男と連絡を取ることなんてないのに、涼平だけはなぜか特別だった。

別れた後に少しの気まずい期間はあったものの、自然とまた話をするようになり、今では親友と言ってもいいくらい、私の一番情けないところも全てさらけ出せる相手。

カウンターに並んで座る涼平は、ワイングラスを傾けながら呆れ顔でこう言った。

「あの男?別れたって、これで何回目だっけ?」

「…3回目。でも、今度こそ本当に終わり」

言いながら、またあふれそうになる涙を私は必死でこらえた。

私にはずっと好きだった人がいた。でもその人とはどうしても一緒にはなれなくて。2回別れて、2回よりを戻した。そして今日が3回目の別れ。

一緒にいても辛い。別れても辛い。

これから先もきっと同じことの繰り返しだから、今はこの辛さをぐっと我慢するしかないんだと自分に言い聞かせる。

「もっと自分の気持ちに折り合いをつけて、上手にやれたんじゃないかって。上手にやる方法があったのに、それができなかっただけなんじゃないかって、悔しくなっちゃう」

無言のままの涼平に、私は一人でしゃべり続けた。

「思い出が多くて、家に帰るのがつらい…」

いつも並んで歩いた道、何度も一緒に行ったコンビニ、彼が使った整髪料。そういうものに向き合うことが、今はできない。

私が黙っても涼平はやっぱり黙ったままで、残り少なくなったワインを少しずつ飲み続ける。

「何か言ってよ」

私が言うと、こちらをじっと見つめていた涼平の視線が、ふと私の後ろの方へと移った。

「あ、あの人…」

店の入り口を見ながら涼平が言う。その言葉に、私は涼平の視線の先を追った。

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