1/3のイノセンス ~友達の恋人~ Vol.2

「今、私のこと避けた…?」友達以上の関係だった男が、急に冷たくなった理由

特別だと思っていたのは、私だけだったの−?

広告代理店でコピーライターをしている橋本杏(24歳)は、同期の沢口敦史(24歳)に淡い恋心を抱いている。

“友達以上”の態度をとる敦史に期待してしまう杏。

しかし偶然の成り行きで、杏は学生時代からの親友・優香と敦史を引き合わせてしまったことから、関係が一変。

ついに恐れていた出来事が起こるのだった。


−敦史くんって、本当に面白いのね−

くすくすと、まるで鈴の音のように愛らしく笑う優香の声が、耳から離れない。

そしてそんな優香を見つめる、敦史の眼差しが目に焼き付いて消えない。2年以上もそばにいたはずの私が、見たこともないような表情だった。

あれからもう3日が経つというのに、私の心は未だあの恵比寿のビアバーにあって、絶え間なくヒリヒリと焦げ付いている。

−やめて。お願い、敦史を奪わないで。

ほんの少し茶色がかった瞳を瞬かせ、艶っぽい視線を送る優香。そんな彼女の視線を受け止め、すぐさま照れたように目を逸らす敦史。

二人の姿を交互に見つめながら、私の心はずっとそう叫んでいた。…けれど、どうすることもできない。

確かに惹かれ合う男女を目の前に、私はただ傍観者でいることしかできなかった。

−杏、今日は呼んでくれて本当にありがとう。二人のおかげで、すっかり元気になっちゃった−

別れ際、優香は私にそう言って無邪気な笑顔を向けた。

「うん」とどうにか声を絞り出した記憶はある。しかし私はあの時、ちゃんと笑えていたのだろうか。

…ああ、そうだ。そういえば、優香は私に話したいことがあると言っていた。

しかし私はもう敦史と優香のことで頭がいっぱいで、彼女の悩みを聞いてあげる余裕なんてなかった。

完全に聞きそびれてしまったけれど…優香はあの夜、いったい何に悩んでいたのだろう?

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