男運ナシ子 Vol.11

「まさか、あの人が経歴詐称…?」婚活に勤しむ32歳の女を動揺させた、衝撃の知らせとは

欠点のない、完璧な男などこの世にはいない。人には誰でも長所と短所があるものだ。

しかし、女性が絶対に許せない短所を持った男たちがいる。

浮気性、モラハラ、ギャンブル、借金、ストーカー…

そんな残念男とばかり引き寄せる女が、もしかしたらあなたの周りにもいないだろうか。

橘梨子(たちばなりこ)、32歳もその一人。人は彼女を男運ナシ子と呼ぶ。

この話は、梨子がある出来事をきっかけに、最後の婚活に挑む物語。彼女は最後に幸せを掴むことが出来るのか、それとも…


苦労の末、結婚相談所に登録した梨子。そこで紹介されたのは、2人の男だった。

一人目は、自分のことをThe平均値と名乗る大学講師の山田崇。そして二人目は、IT企業を経営する藤田聖人だ。

聖人とのお見合いは驚くほどに楽しく、梨子は「こんな人と結婚できたら、幸せだろうな」と思うのだった。


―疲れてるはずなのに、眠れないな…。

梨子は、聖人とのお見合いを終えて帰宅した後も、しばらく興奮が冷めやらず、その夜はなかなか寝付けなかった。

聖人と過ごした時間は、お見合いだということをすっかり忘れてしまうほどに楽しく、感情が揺さぶられるものだったからだ。

目を閉じても一向に眠気がやってこないので、自律神経を鎮めるためにハーブティーを淹れる。そして、自社製品で顔パックをしながら、買ったまま手つかずになっているビジネス書を読むことにした。

本の中身は、両親を早く亡くし、苦労してセレブ社長になった男の物語だ。

―聖人さんみたい…。

梨子は夢中でページをめくる。読みながら、頭の中でいつのまにか主人公を聖人に置き換えていた。

思えば、聖人は最初から何かが違っていた。今まで恋する時に梨子が感じてきたドキドキ感やトキメキとは違う。でも聖人には、何か強く惹かれるものがあるのだ。

結局、深夜まで眠れなかった梨子は、翌朝、電話が鳴る音で目が覚めた。

「もしもし、橘様の携帯電話でしょうか?株式会社ディスティニーブライドの小西でございます」

それは、結婚相談所の担当者からだった。しかしその電話の内容は、梨子の眠気を一気に吹き飛ばすものだったのである。

「大変申し訳ございませんが、弊社側の事情で、しばらく紹介業務を停止させていただきます」

「え…!?どういうことですか?」

事態が飲み込めず、慌てて聞き返す。

「弊社では、お客様のご経歴やプロフィールが正確であることに万全を期しているのですが、事実と異なる内容を申告している方がいらっしゃる、というご連絡を頂きまして。これ以上は調査中ですが、本当に申し訳ございません」

担当者は、謝罪の言葉を口にした後で、さらにこう付け加えた。

「万が一、橘様にご紹介したお相手の経歴が事実と違っていた場合は、すぐにご連絡し、全額返金いたします」

その瞬間、梨子の頭によぎったのは、一人目のお見合い相手・山田崇のことだ。

―もしかして…山田さん!?

電話を切った後とっさに、昨日陽菜から送られてきたLINEを読み返す。山田は自らを平凡な大学講師だと名乗ったが、陽菜によれば、ロボット開発で大成功を収めた超優良物件だという。

―確かに山田さんのプロフィールは事実とは違う気がするけど、紹介を停止しなきゃいけない程、大きなことだとは思えないし…。

そもそも、会員数が1万人はいる大手の結婚相談所だ。自分にはきっと関係がないはずだし、すぐに紹介業務も再開されるだろうと、梨子は気楽に考えることにした。

けれど、竜也の見解は違っていたのだ。

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