男運ナシ子 Vol.10

「これって、運命…?」1日2回のお見合いをこなす婚活女子が、ついに出会った最高の男とは

欠点のない、完璧な男などこの世にはいない。人には誰でも長所と短所があるものだ。

しかし、女性が絶対に許せない短所を持った男たちがいる。

浮気性、モラハラ、ギャンブル、借金、ストーカー…

そんな残念男とばかり引き寄せる女が、もしかしたらあなたの周りにもいないだろうか。

橘梨子(たちばなりこ)、32歳もその一人。人は彼女を男運ナシ子と呼ぶ。

この話は、梨子がある出来事をきっかけに、最後の婚活に挑む物語。彼女は最後に幸せを掴むことが出来るのか、それとも…


苦労の末、結婚相談所に登録した梨子。竜也の恋の噂を耳にして、複雑な気持ちになるが、その気持ちを断ち切るように親友と婚活の成功を誓う

お見合い当日、梨子の前に現れたのは、自分で"The平均値"と名乗る山田崇だった。


山田崇との会話はなかなか盛り上がらず、初めての男女が顔を合わせるとき特有の、気まずい沈黙が何度も流れた。

梨子は、頭の中で一生懸命、会話の糸口を探す。

「実は私、プロフィール"The平均値"って言葉がすごく印象に残って、それで、お会いしようと思ったんです」

「それは、嬉しいな。会ってがっかりされるのも嫌だし、あんまり期待されないように書いたんです。僕は、女の人と会話するのも得意じゃないし」

そう言って、山田は目を細めて笑った。

ずっと緊張した様子だった彼が、初めて見せた笑顔に、少しだけ母性本能をくすぐられる。

「でも私、女の人とやたら喋りたがるようなガツガツした人の方が苦手ですよ」

「僕も、ガツガツくる男性も女性も苦手だなぁ。仕事でも、権力ある人とかにガツガツすり寄る人がいるんですよ」

「大学の研究室って、権力争いとか激しそうですもんね…」

ふと時計を見ると、12時半を少し過ぎたところだ。

―約束の30分前だ。そろそろ出なきゃ。

この後はもう1件、お見合いが入っている。

何とか別の日に調整しようとしたが、2人とも土曜日しか空いていないということで、やむなく同じ日にお見合いをすることになったのだ。

あらかじめ山田崇には、12時までしか時間が取れないと伝えてはいたが、少しだけ罪悪感にかられる。もしも自分が同じことをされたら…と想像して、すごく失礼なことをしてしまったと反省した。

「すみません。私、この後予定があって…。そろそろ行かないといけないんです」
「そうでしたね。じゃあ、お会計呼びますね」

ウェイターの男性が伝票を運んできた後、山田はカバンの中をごそごそと漁り始める。

「…参ったな。財布が見当たらない。忘れてきちゃったのかもしれない」
「あ、じゃあここは私が払いますよ。お気になさらないでください」

こうして、梨子は2人分のお会計を済ませた。山田は「今日は何から何まですみません」と平謝りすると、身を小さくするようにして帰っていったのだった。

―遅刻してくるし、財布は忘れるし…。山田さんってかなり天然なところがあるのかな…?会話も沈黙が多かったし、こういう場合は、2回目はお会いするかどうかかなり迷うな。

悶々と考えていると、タイミングよく陽菜からLINEが送られてきた。

『梨子、今日会う予定だって言う"ロボット研究してる山田さん"って、この人だった?』

それは、顔写真つきの、何かの記事のスクリーンショットだった。

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