「彼は分かりやすい“成り上り社長”かもしれません。なのでとにかく、彼が一緒に連れて歩きたいと思うような、若くて綺麗な女であることが最重要。そこに、学歴も経歴も関係なかったんです」
真弘は、玲子より一回り上のバツイチだ。前妻との間に子供がいるそうだが、“結婚出来るならばどうでも良いこと”と言い切る。
そして計画的にことを進め、結婚まで漕ぎ着けた玲子。
結婚式は2回行い、ハワイではハレクラニホテル、日本ではパレスホテルで盛大に祝われた。
結婚指輪はハリー・ウィンストン、新婚旅行はヨーロッパ周遊、とまるで絵に描いたようなスタイルだが、真弘と結婚して一番変わったのは、彼女のSNSだ。
「真弘と結婚した途端に生活が一気に華やかになったお陰で、ブログの読者数も、インスタのフォロワー数も一気に増えました」
日々の買い物や生活をInstagramに投稿しているうちに、ハイエンドな生活に憧れる女性たちからフォローされ、いつの間にか有名になっていった。
しかしここへ来て玲子は予想外の問題に直面しているという。
愛息子・海人の受験だ。
「息子の志望校のママ達は、暗黙の了解でSNS禁止。母親が目立てたば目立つほど、不合格になる確率が高いと言われているんです・・・」
現在玲子は泣く泣く、Instagramのアカウントを鍵付きのプライベートアカウントにしているため、新規フォロワーは承認制になっている。
「せっかくこんな素敵な毎日を送れているのに・・・みんなに見せたいし、写真を載せたいなぁと思うことばかりですよ」
ちなみに、海人を入学させようと狙っているのは最難関とも言われる某有名私学一貫校。ママ達の服装に関しても監視の目が光る。
しかし玲子の家庭くらいの収入があればインターも視野に入れることができるはずだが、玲子のコンプレックスは出身家庭に加え、英語があまり堪能ではないところにもあるという。
「インターに入れたら、また惨めな思いをしそうで怖くて・・・。だからインターは除外しました。私達の周囲では、ママ達はきっぱり二つのグループに分かれるんです。慶應・青学・東洋英和などの有名私学校チームと、インターママに」
玲子は前者になる道を選んだ。
「なんとしてでも、息子をその学校に入れたいんです」
彼女自身に最も欠けている、“育ちと学歴”をどうにかして手に入れたいために、自分では手に入れることのできなかったそのタイトルを海人に託している。
幼稚園も受験した海人だが、現在は小学校受験用の学校にも通いつつ、英語も習わせている。日々忙しい海人の送り迎えは、カイエンに乗って玲子が全て行っているそうだ。
「夫は海外出張が多く、子育てにはあまり積極的ではなくて。なので基本的に、全て私が決めています。寂しくないかって?いいんです、海人がいれば」
受験に合格させるため、日々コネクション作りも欠かさない玲子。志望校のOBママに積極的に会い、真弘の周囲はもちろんのこと、積極的に使えるコネと権力はフル活用する覚悟でいる。
今の玲子の願望は、海人の受験を成功させること。
そして早く受験から解放されて、友達とホテルランチをしたり、Instagramをオープンにして、自分プロデュースのアパレルブランドを作ることだそうだ。
玲子が受験に必死になるのは、息子のためはもちろん、“自分のため”でもあるのだろう。華やかに見えるハイエンド妻にも、コンプレックスはある。彼女は、必死で乗り込んだ船の上で、輝くことになおも貪欲であった。
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華やか!インターママ達のクローズドコミュニティーとは?
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