2019.04.20
SPECIAL TALK Vol.552020年のニューリーダーたちに告ぐ
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック。その招致のための最終プレゼンテーションの場で、総理大臣や招致委員長に先駆けてスピーチを行ったのは、2004年のアテネ大会以降、3大会連続でパラリンピックに出場した谷 真海氏だ。
幼少期からスポーツに慣れ親しんだ谷氏は、早稲田大学在学中に骨肉腫を発症し、右足の膝から下を切断。
失意のどん底から再びスポーツに向き合い、日本を代表する障がい者アスリートとなった。パラリンピアンとして活躍する一方、自身がスポーツから学んだ困難に打ち勝つ力を、自分と同じように苦境にあえぐ人びとに伝え、勇気を与え続けている。
「困難なときほどチャレンジが必要」と語る谷氏。その理由に迫る。
金丸:本日は走り幅跳びの選手として、これまでパラリンピックに3回出場を果たされている谷 真海さんをお招きしました。お忙しいところ、ありがとうございます。
谷:こちらこそお招きいただきありがとうございます。
金丸:本日のお店は、昨年8月に銀座にオープンした炉釜焼きステーキの『GINZA KOKO炉』です。フレンチシェフと焼き師、熟練のふたりのシェフが腕を奮い、神戸牛を中心に、日本各地の銘柄牛の食べ比べが楽しいお店とか。炉釜によって最大限に味と香りを引き立てられた肉を堪能できます。
谷:とても楽しみです。こういった席で、カロリーを気にすることなくお食事をいただけるのは、スポーツ選手の利点ですね(笑)。
金丸:谷さんといえば、パラリンピックでのご活躍もさることながら、2013年、ブエノスアイレスで開催された国際オリンピック委員会総会での最終プレゼンテーションを思い起こす人も多いと思います。事実、私も谷さんのスピーチを聞いて感動したひとりです。東京オリンピック・パラリンピック招致において、谷さんの貢献はとても大きいのではないでしょうか。
谷:そんな恐縮です。でも、そうおっしゃっていただき光栄です。
金丸:選手として活躍し、招致活動に関わり、そして今また東京パラリンピックへの出場を目指されています。しかも走り幅跳びではなく、今度はパラトライアスロンでの挑戦だそうですね。
谷:持久力が問われるトライアスロンは、瞬発力が勝負の走り幅跳びに比べ、年齢を重ねても続けられます。それに妊娠・出産のために一時競技を離れていましたが、新しい種目に挑戦することで、以前の自分と比較するのではなく、新しく積み上げていくかたちでスポーツに向き合えるのではないかと考えました。
金丸:ただ東京大会においては、本来、谷さんが属する障がいカテゴリーのパラトライアスロンは実施されないことが、昨年決定したそうですが。
谷:あれはショックでしたね。大きな目標を失って、これからどうしようと思いました。でもその後、ルール改正で障がいの軽いクラス、つまり自分より障がいが軽い選手たちに混ざって競技に参加することが認められました。ハンデはないのですが、せっかくもらったチャンスなので、大会出場を目指してこの1年間精一杯取り組んで、自分のレベルを引き上げていきたいです。
金丸:今、ほんの少しお話を聞いただけでも、谷さんがいかに挑戦心にあふれる方なのかがわかった気がします。そんな谷さんが、どのようにして生まれ育ち、現在に至ったのかについて、今日はじっくりと伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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