
12星座の女たち:「4月15日」に何かが起こる。“都合のいい関係”に苦しむ女を救った、意外な存在
◆
「来週中に会ってくれなきゃ、もう2度と会わないって送っちゃった…。」
「2度と会わないの?そんなこと、できる?」
アキラから誘いのメールがあった一時間後、一瞬にしてドタキャンされてしまった有紀子は友人の藍を呼び出し『アエル&ブロード エビス』のカウンターで絶望を顔ににじませていた。
「だって久しぶりに会えると思ったら、直後に“無理”って酷すぎるわ。よりによって金曜日の夜に…。」
「悪かったわね、代打が私で。せっかく来てあげたのに」
藍は苦笑いを浮かべながら有紀子の話を聞いていた。
1年前に初めて出会ったとき、終始寡黙な近藤はどこか近寄りがたい雰囲気だったのだが、出来上がった作品は息をのむほどの美しさだった。
―企画の意図、ちゃんと汲み取ってくれてる…。
たったワンカットだけの写真だったけれど、近藤から送られてきた画像に心を奪われた。その夜、普段は送らないような長いお礼メールを送ったのだ。最後に「食事でも行きませんか?」と、添えて。
そのメールがきっかけで、二人の距離は急速に縮まったのだが…。
売れっ子のカメラマンで多忙なアキラは、海外出張も多く、今日のように一方的な彼の連絡を待つしかない。
友人とも恋人とも言えない曖昧な関係に何度も嫌気がさし、その度に「もう2度と会わない」と言っては後悔していた。
「そんな不毛な関係、さっさと切っちゃいなさいよ。精神衛生上、良くないと思うわ。」
それができたら苦労はしないのだ。藍の言葉はごもっともだが、人生の中でこれほど「恋をしている」と実感させてくれる男に出会ったことはない。
好きすぎて、どうしたらいいのかわからない。それが有紀子の本音だった。
「そんな男、今は忘れよう?それよりさ、これ見てよ。昨日ね、私がやってるメディアで新しいコンテンツをはじめたのよ。」
堂々巡りを繰り返す恋の悩みに飽きたのか、スマホの画面を有紀子の前に差し出す。
「これって…?」
「読んでみて、結構当たるのよ。」
そこに表示されていたのは、12星座の占いだった。
この記事へのコメント
昨日も休日なのに部下からの相談などあり、今日からも仕事上キツイ日々が続きそうですが、j.ミナトの言葉に救われた気がします。
そのまま、私へのエールと思って勝手にいただきますね。ありがとうございます。
こんな男と結婚(後輩ちゃん…結婚できるよね?)したら苦労するだろうし…
でも、いいことがこれから起きますように!