12星座の女たち Vol.8

「すぐ既読になるのに、なぜスルー…?」ドタキャン男に下した、疑り深いさそり座女の決断

人生には思いがけない出来事が、いくつも用意されている。

良いことばかりが人生ではない。

受け止めきれずに取りこぼしてしまうこともあるだろう。時には呼吸ができないほど苦しい時もある。

そんな困難に直面し、心が折れてしまいそうになった時、ほんの少しだけ背中を押してくれる存在に出会えたら、人生は好転していくのかもしれない—。

これは生まれ月の違う12星座の女たちが、ある存在をキッカケに自分を取り戻していくストーリーである。

前回は、新たな恋を自覚した“天秤座の女”を紹介した。今回は―。


名前:有栖真矢(31歳)
誕生日:11月14日
職業:外資系化粧品会社 役員秘書
住居:白金高輪

Case.8 情熱的だが、素直になれない蠍座の女


じっくりと鏡を見ながら、そこに写る疲れ果てた女の姿に思わずため息をつく。

真矢は忌々し気にメイクを落とし、もう一度鏡をのぞいた。

「…ひどい、肌荒れ。」

そんな独り言が、ぽつんとバスルームに響く。

ばっちり決めたメイクも、きれいに整えたヘアスタイルも、彼が好きだと言ってくれたネイビーのワンピースも、その全てが無駄になってしまった金曜日の夜。

彼氏の明仁と、この日のデートの約束を交わしたのはちょうど一か月前のことだった。

海外出張の多い明仁と、役員の予定によって業務量が左右される真矢が予定を合わせるのは至難の業だ。ひと月以上会えないこともザラにある。

そして『急に出張が入った、夜の便で成田からロスに…』という彼の悲痛なLINEメッセージを受け取ったのは昨日のこと。

真矢はねぎらいの言葉を添えて、愛想よく返信したのだ。

自分の気持ちをグッと飲み込み「大丈夫、私も仕事が終わらなさそうだから丁度いいわ」と、聞き分けの良い女を演じたのだった。

それが自分の本心からはかけ離れているなんて、真矢は百も承知だったのだが、それ以外にどう返したらいいのか思いつかなかった。

本当ならいまごろ、2人のお気に入りである恵比寿の『ALTRO!』で、ディナーを楽しむはずだったのに…。

明仁からは、「埋め合わせは必ずする」と連絡があったけれど、一体それがいつになるのか皆目見当もつかない。

真矢はいつも通り定時に会社を出て、何もなかったように自宅へと帰ったこの日。何度目かもわからない彼氏のドタキャンに酷く傷ついてしまった。

―今日だけは、どうしても会いたかったのに。

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