12星座の女たち Vol.4

12星座の女たち:「私はずっと“その他大勢”女…」アラサー女子の、切な過ぎる恋の結末

人生には思いがけない出来事が、いくつも用意されている。

良いことばかりが人生ではない。

受け止めきれずに取りこぼしてしまうこともあるだろう。時には呼吸ができないほど苦しい時もある。

そんな困難に直面し、心が折れてしまいそうになった時、ほんの少しだけ背中を押してくれる存在に出会えたら、人生は好転していくのかもしれない—。

これは生まれ月の違う12星座の女たちが、ある存在をキッカケに自分を取り戻していくストーリーである。

前回は、婚約破棄をした“双子座の女”を紹介した。今回は―。


名前:松崎瞳(31歳)
誕生日:7月14日
職業:ITベンチャー企業 営業
住居:白金高輪

Case.4 本音を口に出来ない、かに座の女


その日は朝から携帯が鳴りっぱなしだった。

「少し遅れます」
「場所はどこ?」
「今日行けなくなった。」

今夜は仲間内でBBQをする予定だったが、幹事である瞳にそんなメッセージが続々届く。

―遅刻ならまだしも、ドタキャンって…。

「今日行けなくなった。」というメッセージを送ってきたのは、「アークヒルズの『ルーフトップラウンジ』でBBQをしよう」と言い出した張本人・今井雄太なのである。

最初はゴルフ仲間たちを集めてお花見を開催する予定だったのだが、天候不良や人数調整にてこずり、予定はどんどん後ろ倒しに。そして最終的にゴールデンウィークに入ってから集まろう、という話になったのだ。

予定が変わるたびに全員の予定を調整し、場所を確保するために奔走したのは、言い出しっぺである雄太ではなく、長年彼の友人ポジションに収まっている瞳だった。

出版社の編集者として活躍する彼が忙しいことは重々承知しているのだが、この扱いには納得がいかない。

しかし、そう思っていても、瞳は雄太に頼まれた”幹事”の役目を断ることができなかった。

雄太との出会いは、ありきたりな食事会だ。その日も彼は当然のように遅れて来たが、一番場を盛り上げてもくれた。

瞳は、一見チャラく見える雄太を最初は警戒していた。だがその食事会後も連絡を取り合うようになって、好きな音楽や映画、またゴルフが趣味だということなど些細なことまでぴったり合うことが分かり、惹かれていったのである。

しかし、なぜか二人の関係は友人どまりで、一向に前へと進まない。

一緒に食事をしても、映画に出かけても、新木場のスタジオコーストに2人とも好きなJames Blakeのライブまで見に行ったというのに。

友達以上、恋人未満どころか、本当に”ただの友達”としてしか、彼の隣にいることができなかったのだ。

挙句の果てには、面と向かって「瞳は最高の女友達だ」なんて言うものだから、瞳はこれ以上先に進むことが出来ずにいる。

惚れた弱み、というのは、時に女をここまで無力にしてしまうという事を、瞳は痛感していた。

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