12星座の女たち Vol.1

12星座の女たち:「4月15日」に何かが起こる。“都合のいい関係”に苦しむ女を救った、意外な存在

人生には思いがけない出来事が、いくつも用意されている。

良いことばかりが人生ではない。

受け止めきれずに取りこぼしてしまうこともあるだろう。時には呼吸ができないほど苦しい時もある。

そんな困難に直面し、心が折れてしまいそうになった時、ほんの少しだけ背中を押してくれる存在に出会えたら、人生は好転していくのかもしれない—。

これは生まれ月の違う12星座の女たちが、ある存在をキッカケに自分を取り戻していくストーリーである。


名前:小宮有紀子(27歳)
誕生日:4月15日
職業:広告代理店 プランナー
住居:恵比寿

Case.1 おひつじ座の女


―今夜、空いてる?

そんなメッセージを受信したのは、有紀子が帰り支度を整えている最中だった。

年始から続いていた大きな案件が片付き、ようやく残業続きの日々から解放された直後だったが、「大丈夫、恵比寿でいい?」とすぐに返事を送った。

広告代理店のプランナーとして活躍する有紀子が、仕事を通じてカメラマンの近藤アキラと出会ったのは、ちょうど1年前だった。

職業柄休日も関係なく忙しくしているアキラからの連絡は、久しぶりである。

「じゃあ、先に失礼するわね。」
「はい、お疲れ様です。」

職場では誰よりも遅くまで残る有紀子が、オフィスのライトが煌々とついている時間に退社するのがよほど珍しいのだろう。

驚いた顔で見つめてくる後輩たちを残し、急いで会社を飛び出す。そして日比谷線に乗り込み六本木から恵比寿へ向かった。

着いたらすぐに徒歩3分の自宅に戻ってメイクを直し、時間があれば髪の毛も巻き直したい。そんなことを考えながら、アキラからの返信を待つ。

―あ、既読になった!

そんな些細なことでさえ、心を躍らせてしまう。なにせ2か月ぶりの再会なのだ。

はやる気持ちが抑えきれなかった有紀子は自宅に戻らず、アトレの化粧室でリップを引き直す。姿見で全身をくまなくチェックし、いつも待ち合わせしている恵比寿像に向かおうとしたその時。

iPhoneのバイブレーションが、アキラからの着信を告げる。

「もう向かってる?やっぱり今日は無理だ。ごめん」

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