ようこそ、ルミ子の部屋へ Vol.7

“職業=美人”が許されるのは、27歳まで?自分の価値を見誤った女が受けた辛すぎる制裁とは

仕事も恋愛も、自己実現も、自由に叶えられる時代。
それでも私たちは悩みの中にいる。

「この人でよかったんだろうか」
「ここは本当に自分のいるべき場所なのか」

東京・銀座の片隅に、そんな迷える東京男女たちが
夜な夜な訪れるバーがある。

オーナーをつとめる年齢不詳の謎の美女、留美子は、記入済みの離婚届を持って夫が失踪した女・紗綾や、結婚にたどり着けないIT社長・壮太の、ヒモ男を切れない女・梓の悩みを厚かましく大胆な方法で解決へ導くのだった。

さて、今日のお客さまは–


すべての男を狂わせる女


カンカンカンッ、カン、カン、カンッ…

女の華奢なヒールが、錆びた鉄階段を叩く音がする。

東京・銀座は夜の11時。

8丁目雑居ビルの2階にある小さなバー「銀座Timbuktu」のバーテンダー、タカハシは、その音がだんだん近づいてくるのを耳の端で捉えていた。店は珍しくほぼ満席だ。

カウンターの客をさりげなく詰めさせ、席を一つ空ける準備をした。

タカハシの勘はこう告げている。
これから来る客は、おそらく厄介だと。

「こんばんは」

瞬間、店の空気が塗り変わる。店内にいた男たちの目が一斉に吸い寄せられるのが見てとれた。

カッ、カッ、カッ

折れそうに細いJIMMY CHOOの踵を鳴らして、女はゆっくりとタカハシのいるカウンターに歩を進める。

なめらかな白い肌。潤んだ大きな目に、片手で掴めそうなほど小さな顔。華奢なウエストとは不釣り合いな、こぼれそうに豊かな胸元。

ただの美人ともまた違う。男に愛され、男を狂わせるためだけに生まれた女。小倉美桜(みお)はかつてそう呼ばれたこともあった。

「いらっしゃいませ。少々混み合っておりますが」

タカハシが席をすすめると、美桜は首を横に振り、挑発的な上目遣いで彼を見つめた。

「私はお客さんじゃないの。雇って欲しいんです、このお店で」

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