女子力の呪い Vol.6

モテない、結婚できない、チヤホヤされない。「30歳の壁」に苦しむOLを救った、謎の女の正体とは

私たちには呪いがかけられている。

いつでもかわいらしく身ぎれいに、
だって「女の子なんだから」。
人の輪を乱さずに、まわりに気を配るの、
だって「女の子なんだから」
男性を立てて。プライドを傷つけちゃだめ、
だって「女の子なんだから」。

キャリアを手にし、妻や母となっても、影のようにつきまとう呪いの正体とは?

若い女に夫を奪われて以来、アンチエイジングに取り憑かれた留美子35歳は突然の交通事故に遭う。果たして、自慢の美貌に大ケガを負った留美子の人生は–


コリドー街で熱唱する謎の女、ルミ姐・45歳


田原みゆき(30)は、金曜の夜にコリドー街なんぞにやってきたことを心から後悔していた。

「いるだけで誘われる場所だから」と同僚に無理やり引きずられて新橋駅に降り立ち、はや3時間半。

まったく誘われない。

今や東京屈指の出会いスポットとなっているコリドー街は、「コリリンOL」と呼ばれる20代の若い女子に占拠されており、ちょっと綺麗な普通のアラサー程度のみゆき達の出る幕はなかったのだ。

「大した男もいないし、今日は朝まで女子会!」

同僚はすっかり出来上がっている。

「えー…もう帰ろうよ」

「いいじゃん、もう一軒だけ。面白いおばさんがいる店があるんだよね」

「おばさん?」

「そう。たまたま入った店で知り合ったんだけど、なんか変な人で。悩みとか相談すると面白いよ!」

同僚の話は堂々めぐりで要領を得ない。みゆきは、またしても引きずられるように銀座8丁目路地の2階にあるバーの扉の前に立っていた。

–私の人生、人に引きずられてばっか…

おそるおそる分厚い扉を引くと、その隙間から溢れんばかりの大音量がみゆきの両耳を襲った。

Hey Yeh〜♪

カウンター10席ほどの狭い店の中央、派手なボルドーのジャケットを着た女が、マイクに食らいつかんばかりの勢いで「六本木心中」を熱唱している。

年齢は40代くらいだろうか。いわゆる中年の女性だ。しかしその年代にしては顔が小さくて背が高く、若い時はなかなかの美人だったと思われる。

「よっ!ルミ姐!」「日本一!」女が歌唱を終えると、店の常連客らしきおじさん達が口々に褒めたたえる。

よく見るとその額には、かつてケガをしたのだろうか、鉤裂きのような大きな傷跡があるのが分かった。

みゆきと目が合うと、その女は子どものように歯を見せてニカッと笑った。

–なんなの?変な女…

それが、田原みゆきと、ルミ姐こと留美子さん(45)との奇妙な出会いの瞬間だった。

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