10年越しの恋〜真理亜Ver.〜:元カレとの再会で蘇る甘い記憶。素直になれない32歳女の決心
修と再会した翌日、真理亜は、別れ際にとってしまった態度を後悔していた。
ー私って、どうして自分の気持ちに蓋をしてしまうんだろう…。
気持ちをまっすぐにぶつけられたら何かが変わるかもしれないのに、昔から素直になれない。
それに仕事に関しても、うまくいかないのは同じだった。
怒らせてしまったデザイナーとはまだ険悪なままで、何もできずにいた。そのことを思い出したらまた大きなため息が出る。真理亜は気分転換に外にランチに出ることにした。
「あ、…もうこんな時期なのね。」
冬の到来を感じさせる冷たい空気の中、偶然通りかかった宝くじ売り場の前で、真理亜はふと足を止める。
ーそういえば修は、年末には毎年、宝くじを購入していたっけ…。
宝くじを買ったことがなく他人事のように見つめる真理亜に、「挑戦しなきゃ、夢は叶わない!」と鼻息荒く語っていた彼の姿を思い出す。
挑戦できずに足踏みしてばかりの自分を励ましてくれているようで、真理亜の心は少し温かくなった。
ーあの前向きな修だったら『ツイてない時こそ、最後に福が来る』って言うはず…!
そう思った真理亜は、生まれて初めての宝くじを購入しようと列に並んだのだった。
年末ジャンボ宝くじ、年末ジャンボミニ、年末ジャンボプチ1000万の3種類を購入した真理亜は、久しぶりに興奮していた。
ーもし、この宝くじが当たったら…?どんな人生になるんだろう。一度は手放した夢だって、もう一度…。
宝くじが当たったら、ジュエリーデザイナーになるという夢にもう一度向き合ってみようか。ゼロからデザインの勉強をして、コツコツと経験を積み、そしていつかは小さなジュエリーブランドを立ち上げることだってきっと不可能じゃない。
もしかしたら現実のものになるかもしれない輝く未来を想像しているだけで、心が踊る。
久しぶりにワクワクした気分になるとパワーが湧いてきて、悩みすら解決できそうな気がした。
「私、このままじゃダメだ。」
真理亜は急いでオフィスのデスクに戻ると、デザイナー宛にメールを送った。ブランドへの熱い思い、そしてブランドをもっと大きく成長させたいからこそ売上もコストも重要視しているのだという正直な気持ちを綴ったのだ。
デザイナーからの返信が届いたのは、その日の夕方のことだ。
相変わらず厳しい内容だったが、ブランドを成長させたい気持ちは真理亜も変わらないのだと伝わったようで、もう一度打ち合わせをしたいと言ってくれた。
ー思い切って行動に移してみて、良かった…!
その瞬間、この嬉しさを思わず誰かに伝えたくなって、あの頃、笑顔で宝くじを買っていた修の姿が頭をよぎる。
仕事を終えた真理亜は、先日もらったばかりの修の名刺を手に、小さく呟いた。
「…彼にも、ぶつかってみようかな。」
当たったら二人の夢を叶えような、とまっすぐな気持ちを伝えてくれていた修。彼が描いた未来に、自分は確かに存在していた。
宝くじ売り場の近くには、二人の思い出のカフェがある。
真理亜はもう一度修に会いたいと、そう思ったのだ。
▶NEXT:11月28日 水曜更新
一方、真理亜に再会した修はその時何を思っていたのか?
真理亜が購入した宝くじはこちら
■衣装協力:P1女性 ブラウス¥11,000〈ホワイト/ホワイト ザ・スーツカンパニー 新宿店03-3354-2258〉ネックレス¥6,750〈アビステ03-3401-7124〉P2女性 トップス¥5,800〈ザ・スーツカンパニー/ザ・スーツカンパニー 銀座店03-3562-7637〉イヤリング¥4,000〈アビステ03-3401-7124〉P2男性 ニット¥27,000〈パニカーレ/トヨダトレーディングプレスルーム03-5350-5567〉パンツ¥11,000〈エトネ/ユニバーサルランゲージ 渋谷店03-3406-1515〉P3女性 ニット¥14,000〈ソブ/フィルム03-5413-4141〉バッグ¥25,000〈キャロル ジェイ/ユニバーサルランゲージ 渋谷店03-3406-1515〉ネックレス¥9,139、ピアス¥8,556〈ともにアビステ03-3401-7124〉