
16年間、好きな相手に手紙を送り続けた女。気づけば狂気に変わっていた、愛情と執着心
深窓の令嬢が、超リッチな男と結婚。
それは社会の上澄みと呼ばれる彼らの、ありふれた結婚物語。
有馬紅子(ありま・べにこ)もそんな物語の一人として17年間幸せに暮らしてきた。
しかし突然、夫・貴秋が若い女と駆け落ち同然で家を出てしまい、紅子のプライドは消えかける。
なんとか就職に成功し、新たな一歩を踏み出した紅子。職場の同僚や上司との人間関係が複雑になっていく中で、突然、月城家に呼ばれることになり、そこで以前届いていた“謎の手紙”の秘密が明らかになる。
「社会経験、ほぼゼロ」。有閑マダムのレールから強制的に外された女・有馬紅子のどん底からの這い上がり人生に迫る。
「貴秋さん…もしかして、これを書いた方に思い当たる方がいるの?」
私が問いかけると、手紙に釘付けになっていた貴秋さんが顔を上げ、私ではなく西条さんを見て言った。
「西条、手にとって見てもいいかな?」
西条さんが無言で頷くと、貴秋さんはビニール袋の束の中から一つを引き......
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この記事へのコメント
小河さんがちゃんとしてて良かった…でも書面でご返事って、辛かったんだろうな。表情や声で気持ちを漏らさないように…やっぱり小河さんも素敵な人♥