アラサー女の大逆転。“彼好み”に合わせるばかりだった凡庸な女が、ハイスペ紳士を射止めるまで
「いや、全然。すごく興味あるよ。…ってことは今の話だと、芽衣ちゃん、あのセレクトショップでお仕事するの?」
「はい、そうなんです。実際に店頭に立つわけじゃないですけど、ちょくちょく顔を出すことになるかと」
芽衣は日野に促されるまま自分の仕事に対する考え方だったり、セレクトショップの担当になるのがずっと目標だったことなどを語った。
そして彼は「へぇ」「それは凄いね」などと丁寧な相槌を打ちながら、最後まで真剣に話を聞いてくれるのだった。
「うん、すごくいいんじゃない」
芽衣の話を一通り聞き終えると、日野はとても優しい声を出した。
「自分の好きなものを信じて一生懸命になれるって、素敵なことだよ。僕は、自分のパートナーにもそうあって欲しいと思ってる。その方が自分も頑張ろうと思えるし、刺激にもなるからね」
その言葉は、最近まで不本意な女子アナ風ファッションを強要されたり、柄にもなく男の家で坦々春雨を作ったり、仕事への情熱を否定されたりしていた芽衣の心に、深く染み渡る。
−日野さんって、すごい素敵な人かも。
そう思って、ふと目の前の彼を見上げた時。
「ねぇ…芽衣ちゃんは彼氏とか、いるの?」
突然、真面目なトーンでそう問われ、芽衣は「いえ…」とだけ呟くと、どぎまぎと下を向いてしまう。
しかし「そっか」と言った日野の声に喜びが滲んでいるのを聞いて、もう一度顔を上げた。
するとそこには、照れたように笑う日野がいて、芽衣はその柔らかな表情に心がポッと温かくなるのだった。
「じゃあ…僕にもチャンスはあるのかな?」
改まって、芽衣を見つめる日野。芽衣は、彼の言葉に大きく頷きながら、湧き上がる感情をかみしめた。
−やっと、巡り会えた。
私は、このままでいいんだ。もう、誰かに合わせる必要なんてない。
たくさん葛藤したけれど、自分らしさを取り戻してようやく、たどり着くことができた。
好きな自分を、好きになってくれる大切な人に。
Fin.
~ Epilogue ~
「あれ?かすみ!」
日野との、初めての週末デートの日。芽衣は待ち合わせ場所に向かう途中で偶然、友人のかすみを見つけて声をかけた。
彼女は確か…港区で知らぬ者はいない由美という女性がトップを務める、ビューティーなんちゃらとかいう美容サロンの看板娘をしていたはず…。
かすみは、そのあざとさから『地獄のアヒル口』と一部の女たちから呼ばれているが、根は優しく明るい女の子だ。
「まさか、プレゼント?」
ショーウインドウ越しにメンズ服を眺めているかすみに、思わず芽衣は聞いてみる。
「かすみって、プレゼントはもらう専門じゃなかったっけ?」
芽衣が軽口を叩くと「実は、恰好が残念な人がいてさぁ」と、かすみは何やら楽しそうに話し始めた。
「そうなんだ。じゃあさぁ…」
そこで芽衣がある提案をすると、かすみは前のめりでノってくる。
その食いつき方にやや圧倒されながらも、かすみとある約束をして、芽衣はそそくさと日野との待ち合わせ場所へと急ぐのだった。
▶NEXT:番外編!10月26日金曜にエピローグの続きを動画で配信予定!
「港区おじさん」でおなじみのかすみと山田半蔵門が登場。かすみがYOOXのアイテムを使って半蔵門を変身させる…!?
芽衣が使っているファッションECサイト・YOOXの詳細はこちら!
さらに、芽衣が購入したランバンのワンピースはこちら!、セルジオ・ロッシのパンプスはこちら!
YOOX×東カレ 特別キャンペーン実施中!
YOOX商品50万円相当が詰まった、『東カレ厳選ファッションBOX』が抽選で当たる!
さらに、ご応募いただいた皆様には、YOOXのお買い物で利用できる『10%OFFクーポンコード』をもれなくプレゼント!
※応募受付は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。
■撮影協力
e'interiors