2018.10.01
東京結婚ファイル Vol.1妥協婚の結果
「今ですか?今は“それなりに”幸せに暮らしています」
世帯収入は、夫婦合わせて約1,200万。結婚式は簡素に行い、婚約指輪も夢に描いていた1.0カラットなんて豪華な物ではなかった。
しかしまだ子供のいない二人は自由に使えるお金も多く、旅行にも行けるし、些細なことは気にしなくても良い。
週末は夫婦二人で近場の美味しいお店を探して飲みに行くのがお決まりだそうだ。
そんなほのぼのと楽しい結婚生活だが、一方で明美の“憧れ”は夢となって消えた。
「子供ができてもインターには通わせられないし、港区や渋谷区辺りの高級低層マンションに住めるわけでもない。決して今の暮らしに不満がある訳ではありませんが、たまにリッチな旦那様と結婚した女友達のSNSなどを見ると、“いいなぁ”と心の声がつい漏れてしまうことがあります」
妥協婚をした結果。
彼女が手に入れたのは、妥当な幸せだった。
だが、傍から見れば明美は幸せだろう。
優しい旦那に、安定した暮らし。勝どきのタワーマンションに住み、仕事だって充実している。これ以上、一体何を望むのだろうか?
「欲を言えばキリがありません。私たち夫婦は車もないし、タワーマンションと言えども12階なので、高層階なわけでもないですから。東京にいると、そんな些細なことでも見えない誰かと比較して、“もっと違う生活ができたのかもしれない”、なんて考えてしまうんですよ」
そう言いながら、明美は更に付け加えた。
「エレベーターで高層階の人と一緒になると、12階を押した時にキュッと胸が締め付けられることがあります。“もっと良い人と結婚していたら、もっと経済力がある人と結婚していたら、私もそっちのフロアーに行けたのになぁ”と・・・」
しかし、明美は知っている。これくらいの幸せが、丁度良いことを。
「平凡だけど、幸せな暮らし。康太と一緒にいることで得られる安心感は、お金では買えない大切なもの。何だかんだと言いながらも、私は彼と結婚して良かったと思っています」
そう話す明美は、とても穏やかな顔をしていた。
◆
妥協が一切ない結婚をした夫婦など、世の中にどれくらい存在するのだろうか。
妥協することを頑なに受け入れないか、それとも妥協を受け入れて自分なりの幸せを掴むのか…。
いずれにせよ、今目の前にある暮らしを幸せだと思えるかどうか。それが全てなのだと、明美は無言のうちに言っているようだった。
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“籍を入れない”という新たな選択肢。事実婚って、ぶっちゃけどうですか?
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