恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.4

「君だけは、抱けなかった」。女慣れした商社マンが、たった一人の女に寄せる純情な想い

−なぜ今、思い出すのだろう?

若く、それゆえ傲慢だった同級生・相沢里奈の、目を声を、ぬくもりを。

これは、悪戯に交錯する二人の男女の人生を、リアルに描いた“男サイド”のストーリー。

“商社マン”となった一条廉モテを堪能する日々を送るが、次第に抜群の包容力を見せる3歳年上の美月と半同棲状態となる。

同級生・里奈とはただの友達のはずだが、美月から寝言で里奈の名を呼んでいたと聞かされ動揺。

しかし一方で、里奈はあっさりと年上の御曹司との結婚を決めていた。


里奈の結婚


その日のことを思い出すとき、蘇るのはいつも断片的な記憶だ。

『ガストロノミー ジョエル ロブション』で執り行われた里奈の結婚式は、僕が過去に出席した同年代のウェディングと比較して格段に豪華なものだった。

しかし正直なところ、せっかくの料理も会場装飾も、言ってしまうと里奈がどんなドレスを着ていたかも覚えてはいない。

思い出されるのは、ただ彼女が新郎・二階堂直哉の隣に佇む姿が抜群にしっくりきていたこと。左手薬指に光るダイヤが目を見張る大きさだったこと。

そして何より幸福そうな彼女の笑顔が、眩いほどの輝きを放っていたことだ。

そんな里奈を前にして僕は、ある種達観したかのような不思議な感覚を抱いた。

僕には決して見せない目で二階堂を見つめたり、満ち足りた表情で俯く彼女の横顔を垣間見ても、嫉妬の類はまるで感じない。

「良かったな、里奈」

僕はパーティーの間中、心の中で何度もそう呟いていたのだ。

まだ少女の面影があった19歳で出会い、生き急ぐように大人の階段を駆け上がっていく彼女を、僕はずっとそばで見てきた。

だからこそ、幸福の絶頂で微笑む彼女の姿を見ることができたことが純粋に嬉しかったのだ。

そんな風に思える自分に僕は心底ホッとし、特別で大切な友人の門出を、晴れ晴れしい気持ちで見届けた。

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