SPECIAL TALK Vol.44

~自分が心から欲しいと思ったからこそ、強いサービスを作り上げることができた~

2020年のニューリーダーたちに告ぐ

世界200ヵ国の企業情報や業界動向を収集・分析できる法人向けソリューション「SPEEDA」。そして、個人向けのソーシャル経済メディア「NewsPicks」。これらのサービスを生み出し、これまでにない新しい価値を提供し続けているのが、ユーザベースの梅田優祐社長だ。

「世界一の経済メディアを作りたい」と、高校の同級生である稲垣裕介氏と会社の同僚だった新野良介氏と共に起業し、いまや国内に留まらずアジアやアメリカでも展開する。

決して優等生ではなかった少年時代。熱中するものを見つけ出せなかった高校・大学時代を経て、なぜ梅田氏が社会に大きなインパクトのあるサービスを世に送り出せたのか。その根幹を探る。

梅田優祐氏 株式会社ユーザベース代表取締役社長

1981年アメリカ出身。横浜国立大学卒業後、戦略系コンサルティングファームのコーポレイトディレクション(CDI)、UBS証券投資銀行本部の東京支店を経て、2008年に稲垣裕介氏、新野良介氏と共にユーザベースを創業。ニューズピックス取締役、およびNewsPicks USA, LLC Executive Chairmanも務める

金丸:本日はユーザベースの創業者である梅田優祐さんをお招きしました。お忙しいなか、ありがとうございます。

梅田:こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。

金丸:今日の対談の舞台は、港区赤坂の『鮨まつもと』です。『久兵衛』『かねさか』で修行を積んだ大将による、お鮨をご堪能ください。

梅田:とても楽しみです。ニューヨークで和食を食べようと思うと、同じクオリティでも2〜3倍の値段になるので幸せです。

金丸:梅田さんとは一度じっくりお話をしたかったのですが、なかなか実現できませんでした。それもそのはずで、今ニューヨークに住んでいらっしゃるんですね。

梅田:はい、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」(ニューズピックス)の米国展開を始めたばかりでして、日本とニューヨークを行ったり来たりしています。アメリカには大きな可能性を感じていますが、やはり簡単ではないので軸足を移しました。

金丸:そうなんですか。ニューズピックスは、私もよく見ています。様々な経済情報に対し、いろいろな分野の専門家が独自の切り口でコメントしていて、おもしろいですよね。

梅田:ありがとうございます。

金丸:それに私は、ユーザベースが提供する「SPEEDA」(スピーダ)を以前から知っていました。非常にインパクトのあるサービスでしたから。読者のために少しご説明いただけますか?

梅田:スピーダは、企業分析や業界分析などを行うために必要な情報を提供する法人向けのサービスでして、世界200ヵ国の企業の財務や株価情報をはじめ、市場規模、業界動向などをワンストップで検索できるというのが、大きな特徴です。

金丸:これまで膨大な手間と時間をかけて調べていたのが、スピーダを使うとあっという間に得られるので本当に驚きました。

梅田:非常に便利ですし、大幅なコストの削減になるので、今では金融機関やコンサルティングファーム、大手企業など700社を超える企業に導入いただいています。

金丸:アジアでも展開されているんですよね。

梅田:はい、2014年から。今は香港、上海、シンガポール、スリランカにオフィスを構えています。

金丸:今日は梅田さんがなぜ起業するに至ったのか、子どの頃からお聞きしたいと思います。

9歳までアメリカで暮らすも4ヵ月で英語を忘れる

金丸:早速ですが、お生まれはどちらですか?

梅田:アメリカのミシガン州、自動車産業で知られるデトロイトの近くにあるノースビルという町です。父がトヨタ系のデンソーという自動車部品のサプライヤーに勤めていたんですが、僕が生まれた1981年頃は、日米の貿易摩擦が大きな問題になっていて、日本の自動車メーカーがアメリカにどんどん工場を造っていました。父もアメリカに派遣され、そのタイミングで僕が生まれました。それで1歳まで向こうにいて一度帰国し、5歳のときにまたデトロイトに戻りました。

金丸:めまぐるしいですね。その後、アメリカにはいつまでいらしたのですか?

梅田:9歳、小学3年生までです。

金丸:では梅田さんは、日本語と英語のバイリンガルなのですね。

梅田:経歴だけ見ると、そう思いますよね。でも、英語は見事なまでに忘れてしまいました。

金丸:それは、もったいない。

梅田:相手が何を言っているのかは多少わかるのですが、話すのと書くのは、あっという間に忘れてしまって。アメリカにいるときジャナセンという親友がいて、帰国するとき「俺らの友情は永遠だから」と連絡先を交換しました。帰国直後は毎週手紙を送っていたんですが、段々書けなくなったんですよ。僕のせいで1週間に一度が2週間に一度になり、1ヵ月に一度になり。なんとなく罪悪感があるけど、どうしようもなくて。それで僕の誕生日に、ジャナセンから電話がかかってきたんです。

金丸:きちんと謝ったんですか?

梅田:それどころかまったく英語が出てこなくて、怖くなっちゃって。父に受話器を渡して、その場から逃げ出してしまった。帰国から4ヵ月後なんですけど。

金丸:たった4ヵ月で。

梅田:それがジャナセンとの最後。僕の中にずっと後悔があって……。だから今回アメリカに行くことになり、フェイスブックで探してみたんです。そしたら見つけて、すぐ連絡をとりました。実は来週、30年ぶりに会うんです。

金丸:それはすごい。この対談も来週以降のほうがよかったなあ(笑)。

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