崖っぷち妊活物語 Vol.13

無残にも奪われた“女の幸せ”。「赤ちゃんは、ママを悲しませたくない」の本当の意味

―私、もしかして...?ー

結婚相談所に助けられながら、気が遠くなるほど壮絶な婚活を経て、晴れて結婚ゴールインを果たした女・杏子。

一風変わったファットで温和な夫・松本タケシ(マツタケ)と平和な結婚生活を送り、はや2年。

34歳になった彼女は、キャリアも美貌もさらに磨きがかかり、順風満帆な人生を歩む一方、心の隅に不妊の不安を抱えていた。

女子会マウンティングにもめげず、藤木というスパルタ医の元で体外受精に踏み切った杏子“陽性”の結果を知らされたが、赤ちゃんの心拍が確認できず、嫌な予感に襲われていた


杏子はその日、とうとう会社に行くことができなかった。

思考は完全停止し、何の感情も沸かない。頭の中は、まさに真っ白という状態だ。

だが、そんな精神状態をまるで無視するように、胃の底から嫌な吐き気がこみ上げる。

“悪阻”(つわり)だ。

妊娠5週を過ぎたあたりから、この重度の船酔いのような症状に襲われることが多くなった。それだけでなく、体力は著しく低下したし、耐え難い眠気と怠さが1日中身体に纏わりついている。

だが、そんな体調不良も「お腹の赤ちゃんが育っている」と思えば、杏子にとってそれほど大きな悩みではなかった。

毎月のあの無意味な生理痛に比べれば、悪阻などいくらでも乗り越えられる気がした。その先に“新しい家族”が待っているならば、どんな不調も痛みも喜んで耐えてみせる。そんな気合いは十分だったのだ。

それなのにー。

最終的に藤木が下したのは、「稽留流産」という無残な診断だった。

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