花の第1営業部 Vol.11

大企業の看板、捨てられますか?35歳の男がサラリーマン人生で下した、大きな決断とは?

まるで90年代トレンディドラマの、主人公のような男がいる。

彼の名は、一ノ瀬瑛太。ニックネームは“イチエイ”。

華やかなイメージの広告代理店の中でも、「エリート」とされる、大手自動車メーカーの担当営業だ。

慶應義塾大学卒業。港区の大手広告代理店勤務。“花の第1営業部”所属、35歳、独身。

エリート街道をひた走ってきた瑛太は、このまま順調に出世できるのか…?

これは、東京でしのぎを削る30代サラリーマンの、リアルな心の叫びである。

瑛太が初めてチームリーダーを任されて臨んだ競合プレゼンは、まさかの結果となった。その後屈辱的に、後輩の部下になりながらも、なんとか再プレゼンが終わった。そんな瑛太に、今度は部長昇格の打診がくるが…


「先日のお話、ありがたいのですが、辞退させて頂きます」

部長昇格含みで打診された、関西支社への異動。

今日がその回答期限だった。

イチエイの本部長と、わざわざこの結論を聞きに来た遠藤本部長が、二人して目を丸くしていた。

「おい、一ノ瀬。一体どういうことや?そんなに俺の部署に来るのが不満か?しかも部長昇格までこっちは考えてんねんぞ」

遠藤本部長は、顔を真っ赤にしながら、まくし立てる。

「一ノ瀬くん、遠藤本部長もわざわざ大阪からいらしているんだ。これはきっちり説明してもらわないと」

冷静を装いながらも、明らかに苛立ちを抑えきれない本部長もそれに続いた。

「もしかしてあれか?会社辞めて独立とか考えてるんか?最近そういう奴多いからなー。でもな、あんなん大概うまくいかへんで」

確かに浩司の他にも、この数年は退職する同年代が増えている。今の管理職の、一番の悩みの種だ。

「いえ、違います。ただ、私は決めたんです」

ずっと口を閉ざしていた瑛太が、ようやく口を開いた。

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