和の真髄に触れながら高まっていく期待値
『宮坂』と聞いて、ピンと来た人も多いと思うが、ここは表参道の『御料理 宮坂』の分店。京都で修業を積んだ宮坂展央さんの腕前が評判となり、オープンから1年たらずでミシュランの二つ星に輝いたことでも話題を呼んだ。
そして、今回の「六本木ヒルズ」への出店。高級ブランドが立ち並ぶ界隈だけに、ショッピング後に合わせて、日本最高峰の味を楽しんでもらいたいという想いがある。
『茶寮 宮坂』の料理長を任されたのは、宮坂さんが信頼を寄せる五十嵐 庄大朗さん。正統派和食は敷居の高いイメージがつきものだが、日本料理店特有の凜とした空気感がありながら柔和な雰囲気を感じるのは、五十嵐さんのおだやかな人柄によるものだろう。
ここで供されるのは先付から御菓子まで全11品が登場する1万2,800円のコース。旬を盛りこんだ八寸や上品な一番出汁が薫る煮物椀など見目麗しい美味に自然と心が弾む。
五十嵐さんが「メインディッシュ」と、胸を張る名物土鍋ご飯の前にはお米がご飯に変わる瞬間の〝煮え花〞が運ばれ、和食の奥深さや楽しさをさりげなく伝える。
強火で炊き、甘みと旨みを際立たせたご飯は、心にじんわりと沁みる美味しさ。つやつやと輝き、甘い香りを放つご飯は丁寧な洗米と研ぎ、水切り、浸水の賜物だ。〝銀シャリ〞とはこのようなご飯のことをいうのだと深く思う。
和食の真髄は、手間を惜しまぬ「おもてなしの心」にある。「六本木ヒルズ」という東京の中心で、その心に出合えるのは、この上ない贅沢といえるだろう。
店名:茶寮 宮坂
住所:港区六本木6-12-2 けやき坂通り3F
営業時間:18:00~LO21:00
電話番号:03-6447-1160
休日:不定休
席数:30席