心をほぐしてくれる洋食 Vol.3

豪邸を一軒まるまる改装してできた洋食店が渋谷に誕生。その実力やいかに?

※こちらの店舗は、現在閉店しております。

下町のイメージが強い洋食だが、渋谷は南平台に誕生した洋食店はひと味違う。

お店は一軒家をリノベーションした懐かしくもモダンな印象でここぞのデートにもぴったりだし、料理も洋食ながら繊細で味わい深い…。

それもそのはず。このお店、ミシュラン三ツ星を獲得した和食店が監修している今、東京で最も熱い洋食店なのだ!


渋谷の豪邸で供される日本の洋食の完成形
『レストラン ナンペイダイ』

数多くの美食家を唸らせてきた日本料理の名店、神楽坂『石かわ』。

ミシュランの三ツ星にも輝く、この和食の雄が、渋谷は南平台の閑静なお屋敷街に、人知れずオープンした豪奢な洋食のレストランを監修していたことをご存知だろうか。

その名も、『レストラン ナンペイダイ』である。

「昔から、伊勢志摩観光ホテル『ラ・メール』の高橋忠之シェフの料理が大好きで。フレンチとも洋食とも取れる、今となってはクラシックなあの料理や雰囲気を再現したい。ふと、そう思ったんです」。

柔和な笑顔でこう語るのは、石川秀樹氏。ご存知『石かわ』のご主人だ。普通の民家をリノベーションした邸宅は、格子戸をイメージさせる鉄の扉も豪壮な趣。

路地を思わせる玄関までの緑のアプローチが、日常から非日常の世界へと静かに誘いこむ。

「金目鯛の小鍋仕立て」。和の一番出汁と鶏のフォンを合わせた中にはまぐりの汁とベーコンで更に旨味の骨格をつけている。金目鯛に添えた具は京人参に下仁田ネギ、小かぶにモンサンミッシェルムール貝


焦げ茶とアイボリーでまとめた店内は、華美ではないが静謐さの漂う上質な空間。ややセピア色を帯びた照明の光に映し出されるグラスやカトラリーの輝きも、これから始まる贅沢な晩餐を約束してくれそうだ。

テーマは「懐かしき未来」……。どこかノスタルジーさを感じさせる雰囲気の中、饗せられるは、18,000円〜のおまかせコース一本のみ。

その料理スタイルは、いわば“和と洋のペアリング”とでも言えばいいだろうか。今や日本料理の一部とされる“洋食”を軸に、和やフレンチの要素が所々に取り入れられているのだ。

厨房を任されたのは、石川氏の信認厚い高橋七洋シェフ。洋食の殿堂『小川軒』で修業を積み、ワインバーの先駆的存在銀座『シノワ』では、その料理長を約20年間も勤め上げたベテランだ。

「鮑の肝入りクリームコロッケ酢橘」角切りの蒸した鮑入り


『小川軒』から学んだ「手をかけるところはしっかり手をかけつつも、料理はシンプルに」の教えをモットーとする高橋シェフ。そのスタンスは、和の心にも通じるところがあるようだ。

例えば、「鮑の肝入りクリームコロッケ」。肝のこくと滑らかな口当たりがリッチな一品だが、味の決め手はベシャメルソース。

小麦粉をバターで炒めるルー作りから始めること約一時間余り。つきっきりで面倒を見ればこそのクリーミイな舌ざわりと香りの良さはさすがだろう。

この手間暇かけたベシャメルソースがあればこそ、余計な香辛料は無用。後は良質な鮑と肝があるだけで充分旨い。

「白海老のカッペリーニ ベルギー産キャビア」。フレッシュのオシェトラキャビアがねっとりとして甘みのある白海老と好相性


そのほか、めんつゆとガルム(イタリアの魚醤)で味付けしたカッペリー二や鶏のフォンとカツオ出汁の合わせ出汁で頂く金目鯛の小鍋等々、まさに融通無碍。21世紀の新たな“洋食”がここにある。

「ずわい蟹のサラダ仕立て 土佐酢のジュレ」。ずわい蟹は、カリフラワーやアボカドと共に蟹味噌とカレー風味のクリームであえてある。土佐酢ジュレが爽やか。

「トリュフ御飯」。炒めた玉葱とホタテの飴色の餡を鰹出汁で炊いた御飯の上に乗せ、黒トリュフをかけた一品。食事は3種から選べる。料理は全て¥18,000~のコースから。

現在は紹介制だが、住所を頼りに店に向かい「東京カレンダー」を見たと言えば特別に予約可能だ。

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