東京マテリアル・ガールズ Vol.7

”真面目なイイ子”じゃ、女の闘いに勝てない。策略に溺れた女の犯した致命的なミス

女同士の闘いなんて、くだらない?

美貌・財力・センスのすべてを手に入れた女たちが繰り広げる、ヒエラルキー争い。

男からは求められ、女からは妬まれ、そして羨望の的となるカリスマ読者モデルの世界。

己の自己顕示欲を隠すことなく曝け出す彼女たちは、時に結託し、時に競い合う。

くだらない、と思うならどうか覗かないで欲しい。

優雅で美しくも、水面下で死にもの狂いで闘う、女たちの醜い生き様をー。

会計士として働くあおいは、女性ファッション誌『GLORY』の読者モデルとなり、ロールモデルである景子らと出会い、インフルエンサーとしての地位を確立してゆく。

ついに編集部からスタイルブック発売企画の候補であることを知らされたが、選ばれる為には自分とは桁違いにフォロワー数の多いG3メンバーに勝つことが必要だと知らされた。


「お母さん?」

数時間後に控えている撮影と夜の食事会の為にと、念入りに半身浴をしてシャネルのボディクリームを塗りこんでいるところだった。

ココ マドモアゼルの鼻孔をくすぐる香りと、懐かしい声に思わず心がほぐれる。

帰省の予定を確認し終えると、母が嬉しそうに切り出した。

「それにしてもあおい、東京できちんと会計士さんしながらモデルもやるなんて、凄いこっちゃ。」

仕事をこなしながらも雑誌に掲載されるほど洗練された娘が、自慢で仕方がないようだった。妹の梢も毎月GLORYを買ってくれているらしい。

ふと、学生時代の記憶が蘇る。

とにかく要領がよく楽しみ上手な妹に対して、あおいは真面目過ぎて少し融通が利かない部分があった。

あおいが一番嫌だったのは、母が悪気なく口癖にしていた「もっと梢みたいに上手くやればいいのに」と言うセリフ。

思春期真っ盛りのあおいにとって、その言葉に自分を否定されたような気がして、楽しげな母と妹の会話に入ることすら難しくなるほどだったのだ。

でも今の私はきっと、母から見ても妹よりも輝いているし要領もいい。

資産家の息子かもしれないが、所詮宮崎県のしがないサラリーマンの男の元に嫁いで専業主婦に収まってしまった妹よりも、自分の方がよっぽど「上手いこと」やっているはずだ。

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