LESS~プラトニックな恋人~ Vol.15

LESS〜プラトニックな恋人〜番外編:レスはきっかけに過ぎない。私が離婚を決めた本当の理由

今、東京の男女が密かに抱えている悩みがある。

恋人や夫婦間での、肉体関係の喪失だ。

ある統計では、今や世帯年収1,000万円を超える夫婦においては、過半数以上が当てはまるという。

約4年に渡る同棲生活で、結婚前にも関わらずプラトニックな恋人となってしまった美和子と健太。

ふたりが付き合いを始めるきっかけを作った、美和子の先輩である百合(34歳)もまた、夫とのレスに悩み離婚していた。

夫婦とは、男女の愛とは、一体?

来週の最終回を前に百合が語る、レス離婚の真実。


男女の愛は…


「それじゃあ、改めて…これからは夫婦として、どうぞよろしく」

リネンシャツをラフに捲った右手を差し出し、隣に座る彼がグラスを傾けた。

目の前には、金色とオレンジが混じり合って輝く広い空と、ハワイの海。

私が今、『53 by the sea』で見つめ合っているのは…“やまちゃん”こと、山田和樹。私の、大学時代からの同級生だ。

「でも百合、本当にいいの?結婚式ナシで。俺は男だからさ、心底どっちだって構わないんだけど」

和樹の質問に、私はターコイズのピアスを揺らして首を振った。

「いいの。今さら結婚式に何百万もかける気になれないし、何より結婚は形じゃないって身に染みてるから。こうして何のわだかまりもなく、和樹と一緒にお祝いできてる今が、ずっとずっと特別よ」

言いながら、不覚にも目頭が熱くなってしまう。

…そのくらい、深く重い絶望を、私はここ数年で味わった。

そしてそんな私をそばで支え、女としての自信を取り戻させてくれたのが、和樹だった。

「そっか」と短く答え、彼は照れた表情で視線を逸らす。

私はそんな彼をとても愛しく感じ、ソファに置かれた彼の左手をそっと握った。

恋人と、自然に笑い合うこと。手をつなぐこと。キスをして、抱き合うこと。

以前は私にとっても、それは愛し合う男女の、当たり前の営みだった。

しかし今、はっきりとわかることがある。

男女が生涯同じ相手だけを自然に求め続けるなんて、不可能に近い、と。

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