外銀セールスにこだわる3つの理由
「どうしても、外銀セールスになりたかった」
外銀セールス以外ありえない、という恵里奈。一体、なぜそこまでこだわるのだろうか。
すると恵里奈はこう答えた。
「理由は3つあります。第一に収入、そして次にキャリア…」
確かに、外資系投資銀行の収入は破格だ。新卒時点でも破格だが、その伸び率は驚異的で、30歳を前に数千万を稼ぎ出す者もいる。
キャリアについても納得がいく。年功序列の日系企業とは違い、外資系企業は結果がモノを言う。結果さえ出せば、どんどん出世出来るのだ。
「でも」と彼女は強い口調で言った。
「収入とキャリアだけなら、外銀セールスでなくても手に入れることは出来る。だけど、それだけじゃダメだって気がついたのは、ある出来事がきっかけでした」
晴れて東京大学に入学した恵里奈がテニスサークルの新入生歓迎会に顔を出すと、そこには、男子受け抜群の可愛らしい女子が大勢いた。
東大男狙いの女子大の彼女たちは、「さすがぁ」「すごぉい」を連発し、瞳を潤ませて男子学生を見つめている。
—頭の悪そうな女たちね。
そんな程度にしか考えていなかった矢先に、男子たちがこう話しているのをたまたま聞いてしまったのだ。
「女はやっぱり、顔だよな。いくら勉強だけ出来ても、男みたいに仕事を頑張るしかないからな」
恵里奈は深く傷つき、自分のような女は、一生女として認められることはないのだという過酷な現実を突きつけられたのだった。
そんな思いを胸に秘めながら大学生活を送っていた恵里奈は、1年の夏休みに参加したセミナーで運命を動かす人物に出会う。
景子、当時29歳。丸の内にある外資系投資銀行のセールスとして働いており、東大経済学部卒、恵里奈と同じ帰国子女だ。彼女は皆が思わず振り返るような華やかなオーラを放っており、セミナーに来ている男子学生たちはチラチラと景子を盗み見るようにして、明らかに意識している。恵里奈も思わず目が釘付けになった。
そのとき脳裏にふと、ある考えがよぎった。
−外銀セールス…。勉強と語学ばかりが取り柄の東大女も、女として輝ける…?
これだ!確信した。そこから、恵里奈は外銀セールスになることだけを目指してきた。しかし、この仕事は美人以外お断り。圧倒的に顔採用の世界なのだ。蓋を開けてみれば、景子も元ミスインターナショナルのファイナリストの経歴を持つという。どうりで美人なはずである。
恵里奈が外銀セールスになるために自分に不足している、たったひとつのもの。それは美貌だった。だから、整形を決意した。
そう、恵里奈がここまで外銀セールスにこだわった3つめの理由。それはなんと、女としても認められたかったから—。
最後に、恵里奈に整形がバレたらどうするのか、心配ないか質問してみた。
「リスクは覚悟の上です。私にとって整形は投資で、投資にリスクはつきもの。ゲインとして、内定を手に入れたんです。投資銀行で働いてる身として、なかなか優秀だと思いません?」
今度は、自信たっぷりに笑った。
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