2018.02.01
東京就活事情 Vol.1まず知るべきは、自分の敵
外銀セールスは、アナウンサーを多く輩出するミスコン出身者や準ミス日本などのタイトルを持った人間がうようよしている。
「就活において、まず知るべきは“自分の敵”です。ライバルとなる就活生はもちろん、現役で働いているセールスの先輩も敵です」
大学1年の夏頃から就職活動に臨んでいたという恵里奈は、各社の”女性セールス”たちの傾向をつかむため、知り合いを通してOG訪問を開始した。
「美人にも種類がありますよね。アイドルやアナウンサー系、モデル系など。現役の方は、たぬき顔のアイドル系が多かったので、私はクールな美人顔にしようって決めたんです。似たようなタイプは採用されませんから」
そうして、恵里奈は大学2年の冬休み中に整形し、現在の顔を手に入れた。
「次に、夏のインターン選考前に企業を絞りました」
外資系投資銀行や戦略コンサルティング会社が、大学3年生を対象にしたサマーインターンで学生を青田買いするのは有名な話だ。
インターンとはいえ、選考は本番の就職活動さながら。エントリーシートに学力試験、面接と続く。
ここで他の就活生に採用枠を取られてしまっては元も子もない。出遅れたら命取りだ。
表向きは採用活動をしているが、実際にはサマーインターンで枠が埋まっており、門前払いなんてことはザラにある。インターンを侮ってはいけないのだ。
恵里奈は、この時点で現在の外資系投資銀行にターゲットを絞った。ヨーロッパが拠点の中心であるため、得意のフランス語で差別化出来るはずだと考えたためだ。
「余談ですが、ユーモアやウィットに富んだ話も準備しましたよ」
そう言って、当時のネタノートを見せてくれた。
意外と知られていないが、外資系投資銀行の選考では突飛な質問をされることがある。
恵里奈が実際に聞かれることはなかったが、同期の男子は、面接官から「このペットボトルの価値を劇的に上げる方法、何か思いつく?」と聞かれたそうだ。
すぐさま彼が「さっき、某アイドル○○が飲んでました」と答えると、面接官がニヤリと笑い「いいね、合格」と、その一言で内定をもらったという。
ただ真面目なだけの学生ほど、答えに窮する。口のうまさや頭の回転の速さもかなり重視されているらしい。
面接以外の選考においても、恵里奈にとって語学やテストに心配はなかったし、美貌も武器になった。全てを兼ね備えた彼女は、サマーインターンの合格と同時に、ついに内定を手に入れたのだった。
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