SPECIAL TALK Vol.37

~一度きりの人生だから、やりたいことを精一杯やる~

伊藤忠に就職するも、ベンチャーの魅力を発見

金丸:就職はどちらに?

河野:伊藤忠商事の為替証券部です。まずはディーラーかファンドマネージャーになって、株を極めようと思い、2年目からディールを担当しました。勝ちもしたし、負けもしましたが楽しかったですね。入社して丸4年働いたんですが、伊藤忠がインターネット専業の証券会社を作るという話になり、私と先輩に白羽の矢が立ちました。それが今の、カブドットコム証券につながります。

金丸:ちょっと前まで、株でだまされていた人とは思えないぐらいの出世です(笑)。

河野:ドメインを取ったときのことは、忘れられないですね。株好きの大阪のお医者さんが、すでに「kabu.com」というドメインを使っていらしたので、会いに行ったんです。

金丸:ドメインを売ってくれ、と。

河野:はい。「理想の証券会社を作りたい。それには、あなたがお持ちのドメインが最適なんです」と。そしたら、無料で譲ってくれました。

金丸:河野さんの熱意が伝わったんですね。しかし、ディーラーから新規事業立ち上げへの異動に、戸惑いはありませんでしたか?

河野:むしろ、そのおかげでベンチャーっていいなと思うようになりました。当時、別の外資系証券会社から誘いを受けていて、転職を考えていたんですが、人生をかけてカブドットコムを立ち上げようとしている周りの人たちの姿を見て、こんなに夢中に仕事ができるなんて最高じゃないかと。

金丸:起業というのは、そのとき初めて頭に浮かんだのですか?

河野:いや、以前からなんとなく自分で事業をやりたいとは思っていましたが、何の事業をすべきかを具体的に考えはじめたのは、このときです。それに小遣い稼ぎじゃないですが、ちょうどインターネットオークションをやっていて。

金丸:ネットオークションの黎明期ですね。

河野:ネットオークションって、早く商品を送ったり、早く決済したりしないと、相手からの評価が悪くなるんです。だけど相手に振り込んだり、相手からの振込みを確認するためにいちいち銀行に行くのは、非常に面倒くさい。そこで、決済システムを作ったらいいんじゃないかと考えていました。

金丸:それがイーバンク銀行になるわけですか?

河野:そうです。この事業アイデアを上司に話したところ、その上司はネット銀行をやろうとしていたので、そのまま「俺と一緒にやろう」と誘われ、イーバンク銀行を設立しました。銀行免許のために初めて金融庁に行ったときは、立ったまま2時間待たされ、免許を取ったあともいろいろと大変でしたけど。

金丸:カブドットコム証券もイーバンク銀行も、いまやネットサービスの大手です。そのどちらの立ち上げにも河野さんが関わっていたというのは、すごいです。

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