SPECIAL TALK Vol.37

~一度きりの人生だから、やりたいことを精一杯やる~

叱られて気づいた。ビジネスモデルの重要性

河野:小学2、3年生のときに、夏休みの間ずっと手伝いをしていたのがきっかけで、商売が好きになったんですが、実は、ものすごく怒られたことがありまして。

金丸:それはどんな?

河野:海の家じゃなくて、スポーツ用品店のほうなんですけど、祖父母が不在でひとりで店番をしていたときに、商品を買うとくじ引きができて、豪華賞品が当たるいうキャンペーンをやったんです。大々的に紙に書いて、外に張り出して。

金丸:くじ引き、ですか?

河野:1等はバット、2等はグローブが当たるという。もちろん、くじも自分で作って。

金丸:それを勝手に?

河野:はい。子どもながらに「この店は大丈夫かな」といつも思っていたんですよ。商品はほとんど置いてないし、お客さんも全然来ないし。だから私が何とかしなきゃと思って。でもお客さんにグローブやボールをあげているところへ、ちょうど祖母が帰ってきまして。祖母はお客さんから、私があげた賞品を取り返すと、「これは子どもが勝手にやったことですから」と謝って。そのあとは、もうめちゃくちゃに怒られました。

金丸:勝手にやったのはまずいけど、小学生なのにすごい発想力ですね。

河野:自分が集客しなきゃと必死でしたから(笑)。だけど、怒られたあとに事情がわかったんです。祖父いわく、スポーツ少年団などの団体からまとめて受注している。店はショールームだから、商品は限られたものだけ置いておけばいいし、来客もなくていいんだと。要はカタログショップですね。カタログに載っている商品はすべて6割の値段で買えるので、4割の利益が出ると。

金丸:受注販売で在庫リスクがないなんて、素晴らしいビジネスモデルじゃないですか。

河野:そうなんですよ。そんなこと考えてもいなかったから、びっくりしちゃいました。祖父は当時からすると、半歩どころか、3歩ぐらい時代の先を行っていた。まあ、そのせいで失敗もしていましたけど。

金丸:でも、海の家にしてもスポーツ用品店にしても、どうしたらお客さんが来てくれるか、喜んでくれるかということを、小学生のときから真剣に考えていたとは。その頃からビジネスの才覚があったわけですね。

〝投資顧問〞にだまされ、株で400万円損をする

金丸:大学は慶應ということですが、九州の人は、福岡や関西を目指す人が多いですよね。河野さんは、なぜ東京に?

河野:高校の修学旅行で初めて上京したんですが、楽しくて楽しくて。東京っていいところだなと思いました。大学入試で上京したときも、東京で一番高いところに行きたくて、霞が関ビルや池袋のサンシャイン60の展望台に行ったりしました。

金丸:大学時代はどのように過ごしていたのですか? 勉強一筋だったとか?

河野:いや、それが……。株にハマりまして。

金丸:大学生で株って、当時はなかなかいませんよね。

河野:私が株を始めた頃、日経平均株価は2万8000円ぐらいでした。いろんなアルバイトをやりまくって毎月20万ぐらい稼いで、それを全部株につぎ込んでいたんですが、どんどん株価が下がっていって。

金丸:そういう時代ですよね。

河野:あまりにも利益が出ないものだから、つい、怪しげな投資顧問の広告を見て、電話してしまったんです。

金丸:なんだか、どんどん危険な方向に進んでいますが(笑)。

河野:会ってみると、「30万円用意できるか。できるなら、上がる株を教えてやる」と。慌ててお金をかき集めて教えてもらいました。「700円で買え」と言われたので、その通りに注文を出して。その銘柄は、今でもはっきりと覚えています。

金丸:河野さん、素直すぎます。

河野:だけど、それがストップ高になって、大儲けしまして。

金丸:ええっ!

河野:もう完全に信じ込んでしまって。そのあともらった情報は、全部信じて買いあさり……。

金丸:さらに儲かった?

河野:いやいや、全敗です。

金丸:でしょうねえ(笑)。

河野:それで目が覚めたんです。株で勝てないのは、企業の財務状況がわかっていないからだと。だから財務会計のゼミに入って、一生懸命勉強したんですが、それでも損をする。

金丸:まだあきらめてなかったんだ。すごい執念。

河野:あきらめませんよ。でも、どうしても勝てないもんだから、就職で見返してやろうと、気持ちを切り替えました。

【SPECIAL TALK】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo