2017.09.21
SPECIAL TALK Vol.362020年のニューリーダーたちに告ぐ
メイクに携わって60年。今年で82歳を迎える小林照子氏。ビューティービジネスを行う「美・ファイン研究所」の創業者であり、メイク専門の学校と美容に特化した高校の学園長を務めるなど、日本の“美”の第一人者として精力的に活動を続けている。
世間の常識や自身の年齢にすら縛られず、いまなお輝き続けるのはなぜなのか。
東京の空襲、疎開先での生活、当時創業したばかりのコーセーへの入社、55歳での独立。小林氏の半生を振り返りながら、リーダーに必要な哲学を探る。
金丸:本日はお忙しいなか、お越しいただきありがとうございます。
小林:こちらこそ、よろしくお願い致します。
金丸:本日は対談場所として、港区赤坂の『乃木坂しん』をご用意しました。ジャンルを超えて経験を積んだ店主の石田伸二さんが、昨年6月にオープンした会席料理のお店です。
小林:とても居心地のよい、素敵な空間ですね。お料理も楽しみです。
金丸:小林先生とは、かなり長いお付き合いになりますね。最初にお会いしたのは、先生が主催された異業種交流会だったかと思います。
小林:もう30年近く前になりますね。私がコーセーから独立したばかりの、55歳のときですね。
金丸:あの頃の小林先生は、とても55歳に見えませんでした。3つぐらい年上のお姉ちゃんって感じでしたよ。実際には19歳離れているんですが、今だって「本当に82歳なの?」って疑ってしまいます(笑)。
小林:私も歳なんてあんまり考えないで生きていますから。82歳って自己紹介すると、自分でもびっくりします(笑)。
金丸:起業したのも同じ頃でしたよね。私は89年、小林先生は91年で。
小林:いろんな業種の社長のみなさんに、美しいものにふれる機会を持っていただこうと思って、90年に異業種交流会を始めたんですけど、その中で一番若くて、一番ストレートに発言するのが、金丸さんでしたね(笑)。政治ジャーナリストが30分ぐらい話して、それから意見交換になると、真っ先につっこんでいたのが印象的でした。
金丸:そうでしたか(笑)。
小林:そういう金丸さんの存在が、すごく嬉しかったです。
金丸:小林先生と親しい女性も登壇されましたね。モナコ政府観光局局長だった大隈和子さん(大隈重信の子孫)もそうだった。あのときは、みんなでモナコに行こうという話になりました。
小林:でも行く前に〝練習〞が必要だってなりましたよね。日本人男性は女性との接し方がわからないからって。
金丸:そうそう。女性が近づいてきたら、その女性の顔を正面から見て「最高ですね」っていう眼差しをするのがスマートな対応なんだけど、日本人男性はぱっと目をそらして、女性が通り過ぎたとたん、後ろ姿をじっとり見る(笑)。タキシードも着慣れていないし、そんなダサい男性陣をモナコに送り込むのは恥ずかしいって言われました(笑)。
小林:社交術というか国際的なマナーというものに、あの頃の日本人はなじみがなかったんですよね。だから私は、外見の美と心の輝きをもっと磨いていく必要があると感じたし、それを研究して世の中に発信するために「美・ファイン研究所」を立ち上げたんです。
金丸:先生が提唱された「ハッピーメイク」は、考え方も言葉としても素敵ですよね。「メイクアップ」というと、化粧をして外面を作るというイメージだけど、「ハッピーメイク」には心が伴っているじゃないですか。
小林:ちょっと美意識を持って、ちょっと外見を構うだけで、ハッピーな方向に人生が変わるのよ、ということを伝えたくて。
金丸:そういった経緯があったのですね。これまでも先生のお話をたくさん伺ってきましたが、今日は改めて生い立ちから詳しくお聞かせください。
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