丸の内のプーさん Vol.8

同じフォルムのOLが湧き出る19時×丸の内南口。独身貴族のお眼鏡にかなう女子はいるのか?

丸の内勤務の証券マン・江森(通称:えもりん)、30歳。おとめ座。

外見はプーさんそっくり、愛されキャラな男。好きな食べ物はハチミツ...ではなく、『ウルフギャング』のプライムステーキ。

港区生まれ、港区育ち、育ちのいい奴らは皆トモダチ。生まれながらに勝ち組な彼は、日本を代表するエリート・サラリーマンとして独身生活を謳歌している。

イケてるはずなのに拗らせ気味な男・えもりんは、恋人探しに精を出している。だが、デートにことごとく惨敗し、さらにイケメン商社マンの親友・ハルの結婚報告&説教をうける。

そして、強気な美女・まゆこの涙に心揺れたものの、彼女は恋人とヨリを戻してしまった。


―まゆちゃん、彼と仲直りしたのか......。

江森は自宅のソファで、まゆこが抱いていたダッフィー人形を切なく見つめていた。

つい先日、まゆこはここにいたのに。

別に何をしたワケでもないが、彼女は部屋にやってきて、泣いたり笑ったり、いつになく自然な姿を見せ、他の男の元へ戻って行った。

あの日は、落ち込んだまゆこを励ますのに必死だった。その甲斐あって、彼女は立ち直ったのだ。

それなのに江森はあれ以来、胸が沸々と泡立つような苦い思いを抱えている。

何もヤル気が起きず、会社から自宅に直帰し、UberEATSで頼んだ『筋肉食堂』の塩麴弁当をチマチマと突きながらテレビを眺めているだけだ。

―このアバンチュールの季節に、ボクは一体、何してるんだろう......。

世間は夏真っ盛り。散らかった部屋のソファに一体化するほどダラしなく過ごす自分が情けないが、やはり身体に力が入らない。

すると、ブルブルとスマホが振動しているのに気づく。確認するのも面倒だが、ノソノソと手を伸ばしてみる。

「...おう、久しぶり。今、何してんの?」

相手は、“薄っぺらい”と憐れまれて以来、ちょっぴり気まずくなっていたハルだった。

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