それも1つのLOVE Vol.16

それも1つのLOVE:そして誰もいなくなった。27歳独身商社マンが孤独を感じた瞬間

それもまた1つのLOVE。

愛してるとは違うけど、愛していないとも言えない。

あなたの身にも、覚えはないだろうか…?

翔平は学生時代からずっと高嶺の花だった衣笠美玲と、いつしか“特別”な関係となる。

美玲は突然婚約を宣言するも翔平を自宅に誘い、ふたりは一線を超える。しかし翔平の告白に対し美玲は「もう遅い」と言い放つのだった。

一方翔平は高校の同級生・奈々とも曖昧な関係を続ける。しかし翔平の煮え切らない態度が原因で、彼女ともついに音信不通となってしまう。


完璧な幻


美玲の結婚式に出席した数日後。

翔平が昼食を終えてデスクに戻ると、事務職の女性たちが雑誌を囲み興奮気味に話していた。

「このドレス綺麗!ヴェラ・ウォン、憧れちゃう♡」

「やっぱり、婚約指輪はハリー・ウィンストンだったね」

...また、誰かの結婚話で盛り上がっているらしい。

翔平の部門で事務職をしている女性のほとんどがアラサー。彼女たちの脳内は99%が「結婚」で占められていると思われ、こういった光景は日常茶飯事である。

他人の恋愛や結婚話で、よくもそんなに盛り上がれるものだ。

やれやれといった視線を送るが、次の瞬間耳に飛び込んできた名前は反射的に翔平を緊張させた。

「ほんと衣笠美玲って完璧。女の憧れだわ」

衣笠美玲。

翔平にとっても、彼女はずっと憧れの存在だった。

そう、美玲はいつだって完璧だった。人々の憧れを体現して生きる女。そう思っていた。

しかし...。

結婚式で垣間見た、初めて知る彼女の素顔が思い出される。

所詮は自分も、雑誌を見て盛り上がる女たちと変わらないのかもしれない。本当の彼女のことなど実際は何も知らず、幻に恋焦がれていただけ。

−あなたに、私の相手は務まらない。

あの夜彼女が翔平に投げつけた、高慢で冷酷なセリフ。

しかしその言葉は実に核心を突いていたことが、今になってわかるのだ。

【それも1つのLOVE】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo