未来の老舗候補! いま、期待の鮨屋 Vol.3

スシ アンジョウ

鮨 あんじょう

好物を頬張るシンプルな幸福が還ってきた

左. ネタ箱に旬がととのう

右上.店は妻とふたりで切り盛り。「意外にも、家族連れのお客さまが多くて」日曜も休まないと笑う。時々現れる1歳の「影のオーナー」の存在も、アットホームさの源のひとつ

右下.刺身は黒、握りは赤の塗りの皿に供する

東京の町中にあるもの。そば屋、ラーメン屋、焼き鳥屋、そして鮨屋。以前、地上げで移転再開業を余儀なくされたある大将が言っていた。「同じ町に開け直す時にさ、同業さんが多くて、結構、距離感とか気兼ねするんだよ」。けれどそれほどに鮨屋は東京になくてはならないもの。高い店、安い店。ストイックな店、ざっくばらんな店。お客の気分と懐具合で店を選べる。なんて贅沢なこと!

西麻布交差点に『鮨 あんじょう』を開いた竹内進氏は、恵比寿『松栄』で18年修業の後、昨年末に独立した。旬の刺身と手を施しすぎないつまみでいい具合に飲んで、ちゃんと握りを食べて欲しい。そのスタイルはまさに、『松栄』で学んだものだ。

お客が来店するとカウンター下から出されるネタケースには、その日、彼がいいと思った素材だけが並ぶ。はしりも旬も名残もあるが「これは何?」と気軽に聞けるのが、この店のいいところ。お客が作業を見て楽しめるようにと、まな板は2枚重ねた。40歳という年齢を感じさせない引き締まった幼顔が、ここでは空気をプラスに転じさせる。酢飯に赤酢、ネタによってはたまり醤油。小さな冒険はしても、焦がれ続けた江戸前のきわは外さない。

やっと、還ってきたんだね。「おかえり、町のお鮨屋さん」。

左.毎朝7時に通う築地で仕入れる面立ちのいい魚介。魚が春を告げ始めた

右.春が香る、たけのこ焼き

左. 房州の蒸しあわび

右上.江戸前の春子鯛

右下.肝を挟んだかわはぎの握り

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