それも1つのLOVE Vol.13

それも1つのLOVE:恋人にも見せなかった別の顔。恋に溺れる私は、幸せなはずだった

それもまた1つのLOVE。

愛してるとは違うけど、愛していないとも言えない。

あなたの身にも、覚えはないだろうか…?

女性誌でライターをしている奈々は、高校時代に淡い恋心を抱いていた翔平と渋谷で再会する。

しかし翔平には特別な関係の美女・衣笠美玲が。奈々には結婚を前提に同棲を提案してきた恋人・優一がいた。

ある夜、翔平から「今から逢おう」と誘われ一線を越えた奈々は、優一との別れを決意。どんどん翔平にハマっていく


刹那の幸せ


翔平と過ごしていると、奈々は自分が別人にでもなったかのような感覚に陥る。

子どもの頃から良くも悪くも熱くならない性格で、何かにのめり込んだり執着するということがなかった。

振り返ってみると、大恋愛、と呼べるような経験もない。

だから不思議だった。どうしてこんなにも翔平に会いたくて、抱きしめられたくて、たまらなくなるのだろう。

きちんと片付けられた彼の部屋。

ベッドの上で明け方ふいに目が覚めると、奈々は息を吸うよりも先に翔平の存在を確認するのだ。

上半身裸で、安心しきって眠る横顔は、まるで子どものように幼い。眺めていると、奥深いところから母性が湧き上がってくるような、温かい感情に身体を支配されて、そっと頬に触れてみる。

幸せだ、と奈々は思う。

−女を幸せにするのは恋でも愛でもない、責任よ。

そんな風に、さゆみに諭されたことがあった。しかしそれはきっと、恋をしていない女の論理なのだ。

奈々は、翔平の香りに包まれるだけで幸せだった。...公に公言できるような関係ではなかったとしても。

恋は盲目というが、きっと、そうでなければ恋などできないのだ。

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