それも1つのLOVE Vol.11

それも1つのLOVE:バランスを崩した恋は、苦いだけ。幸せを掴む女と、逃す女の差は?

それもまた1つのLOVE。

愛してるとは違うけど、愛していないとも言えない。

あなたの身にも、覚えはないだろうか…?

女性誌でライターをしている奈々は、高校時代に淡い恋心を抱いていた翔平と渋谷で再会する。

しかし彼は同年代の女性から羨望と嫉妬を集める美女・衣笠美玲と特別な関係にあることを知り心乱されるのだった。

奈々は、ステディな彼・優一に結婚を前提に同棲を提案され、心を決めたはずだったが、翔平が気になる気持ちを止められない。

翔平から「今から逢おう」と誘われ、一線を超えてしまう


切らずに残した、糸


「千駄ヶ谷の家に戻ろうと思う」

そう告げた時の、優一の顔が忘れられない。

さっと表情を曇らせ、「どうして」と絞り出すように言った彼。

しかし理由を聞いておきながら、奈々がすべてを吐き出してしまう前に、「いいよ、わかった」と口を開くのを阻止された。

優一の、溢れ出す感情を押し殺すような、歪んだ表情。

その時ばかりは奈々の心から自己保身の感情や翔平の残像は消え去り、ようやく優一に対する罪悪感でいっぱいになった。

正式なプロポーズを受けたわけではないが、彼は奈々との結婚を真剣に考えてくれていた。忙しい仕事の合間を縫って、2人で住む家も探してくれていた。

急に翻意した奈々を責める権利が、彼にはある。

しかし優一の口から奈々を非難する類の言葉は、一つも出ないのだった。

「...ゆっくり考えればいいよ」

奈々の身勝手を、2人の未来を、彼はそんな言葉で曖昧にした。

優一は、優しい。本当に。

ただ彼の優しさは、私を狡い女にする。

「ありがとう」

きっぱり別れるつもりだったのに思わずそう答えたのは、本能が叫んでいたからだろうか。

...戻ってくる場所を失わない方が良い、と。

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