東京・ホテルストーリー Vol.10

東京・ホテルストーリー:寂しい女は、意地悪になる。優しい夫に苛立った午後

東京の女には、ホテルの数だけ物語がある。

「ホテル」という優雅な別世界での、非日常的な体験。それは、時に甘く、時にほろ苦く、女の人生を彩っていく。

そんな上質な大人の空間に魅了され続けた、ひとりの女性がいた。

彼女の名は、皐月(さつき)。

これは、東京の名だたるホテルを舞台に、1人の女の人生をリアルに描いたストーリー。

埼玉出身のごく普通の女子大生だった皐月は、東京で様々な人生経験を積み、30歳の誕生日にプロポーズを受けた準備に四苦八苦しながらも無事結婚式を迎えたが平和な結婚生活に、不安の影が忍び寄る...?


何でもないごく普通の週末に、女一人でホテルステイを楽しむなんて、20代の頃だったら想像するだけでゾクゾクしていたかも知れない。

洗練された都会のイイ女になることは私の一つの目標で、そういう女はきっと、気ままにお洒落にホテルを利用する。そんなイメージがあった。

しかし実際にそうなってみると、カッコ良さとは程遠い、得体の知れない寂しさに包まれてしまった。

私は「フォーシーズンズホテル丸の内 東京」の部屋に一人きり、窓の外で行き交うカラフルな電車を眺めながら、ひどく心細くなっていた。

―これから、何しよう...。

ホテルには2泊する予定だった。この週末は、たっぷりと優雅な非日常を味わおうと思っていたのだ。

お行儀悪く、ベッドに大きく寝転がってみる。肌に少しヒヤリとする、柔らかなシーツの感触が心地いい。

しかし、一度沸き上がってしまった孤独感は消えなかった。

「ホテルに泊まっておいで」なんて提案してくれた優しい夫に、お門違いな苛立ちすら覚えるくらいに。

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