エーデルワイフ Vol.3

エーデルワイフ:一筋縄ではいかなかった30年間。強くなってしまった女が抱える葛藤

2017年の東京を生きる大人の女性が、悔いなき人生を歩むために身につけるべき「品格」とは?

30歳で婚約破棄。

未来に絶望した千晶は、導かれるようにして、ナンタケットバスケット教室「エーデルワイス」を主宰する高貴な妻、白鳥雪乃と出会う

雪乃の助言で前向きになれた千晶だが、ようやく心の平穏を取り戻した時、元婚約者・涼ちゃんから連絡があり心乱される


匂いと声の中毒性


「復縁はありえないですね。浮気癖って、一生治りませんから」

ランチタイムに訪れたイタリアンレストラン『NORI』

白を基調とした明るく開放感のある店内は気持ちが良い。それにサラダバーがあって、一人暮らしで万年野菜不足の千晶と後輩・あず、2人のお気に入りの店である。

元婚約者・涼ちゃんから連絡があったことをあずに相談してみたのだが、あっさり一刀両断されてしまい千晶は返す言葉もなかった。

しかしあずの言うとおり、ヨリを戻したところできっとまた、彼は同じことを繰り返すだろう。

「ほんと、その通りよね...」

−千晶、本当にごめん。俺にもう一度だけチャンスをくれないか。

...口先ばっかり。涼ちゃんは、いつだって。

そう思うのに、それでも耳から離れない、彼の甘く柔らかい声色。声と匂いには中毒性がある、と千晶は思う。

涼ちゃんの腕の中で、彼の匂いに包まれた時の安心感を。「大好きだよ」と囁かれた時に広がる、満ち足りた感情を。

もう一度、味わいたい。

それは本能の叫びであり、これに抗うのは女にとって至難の技なのだ。

−エーデルワイフなら、何と言うだろう。

食後のコーヒーをすすりながら、千晶はふとエーデルワイフこと、白鳥雪乃を思い出した。

雪乃の左手薬指にはパヴェリングが光っていたから、おそらく結婚しているはずだ。もっとも、彼女の口から夫や子どもの話を聞いたことはなかったが。

考えてみれば、雪乃は自分のことをほとんど話さない。それゆえ彼女のプライベートは謎に包まれていた。

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