エーデルワイフ Vol.1

エーデルワイフ:未来に絶望した女が、白金で出会った謎めいた高貴な妻

東京の年頃の女性たちは、容赦なく選択を迫られる。

結婚する、しない。
子どもを産む、産まない。
働き続ける、働くのをやめる。

2017年の東京を生きる大人の女性が、悔いなき人生を歩むために身につけるべき「品格」とは?

その答えは、彼女たちの先輩である「エーデルワイフ(高貴な妻)」こそが、知っている。


婚約破棄…30歳女に突きつけられた、堪え難い試練


港区・白金台にあるナンタケットバスケット*教室「エーデルワイス」。

立花千晶(たちばな・ちあき)が、なぜこの場所を訪れたのか。それは、「導かれた」という言葉でしか説明できない。

都会の一等地にも関わらず、ふんだんな緑に囲まれた瀟洒な洋館。入り口には、トールペイント**でエーデルワイスの花が描かれた表札が、お行儀よく飾られている。

多少、いやかなりの気後れを感じながらエントランスへと続く道を一歩踏み出し、千晶は履いてくる靴を間違えた、と後悔した。

必ず脱ぐことになるからお気に入りを履いてきたのだが、ヴァレンティノの尖ったスタッズは、この場にそぐわない気がする。

ふいに通り抜けた風が庭に咲く花々の香りを運び、それはまるで、千晶のささくれ立った心を優しく撫でるようだった。

1ヶ月前、千晶は婚約破棄をした。

30歳の誕生日にプロポーズされ、婚約中だった男・涼ちゃんが、あろうことか浮気したのである。これから結婚しよう、永遠の愛を誓おうという時に。

人生で最も幸福な時間を過ごしていたはずだった。しかし、手に入れたはずの幸せは幻想だったと知った。

未来への絶望もさることながら、何より周囲の、腫れものに触れるような扱いが心をえぐる。だからと言って一人で悶々と過ごす時間もそれはそれで過酷だった。

そんな時、導かれるようにして、彼女と出会ったのだ。


*ナンタケットバスケット:米国マサチューセッツ州にある高級避暑地、ナンタケット島に伝わる伝統工芸。籠のエルメスとも称される高級品で、日本でもセレブ妻の間でブームとなっている。

**トールペイント:ヨーロッパの伝統的装飾技法を土台にして、木、ブリキ、ガラス、陶器、布などあらゆる素材に絵を描くことの総称。

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