赤坂の夜は更けて Vol.9

赤坂の夜は更けて:魅力的な女友達への敗北感から、思わず口走った残酷な一言

夜更けの赤坂で、女はいつも考える。

大切なものは、いつも簡単に手からすり抜けてしまう。

私はいつも同じところで立ち止まり、苦しみ、前を向こうとして、またつまずく。

29歳、テレビ局の広報室で働く森山ハナは、ひと回り年上のプロデューサー・井上と出会う。

ハナは徐々に井上に惹かれていくが、元彼・渉君が 「彼女と別れた」と言って ハナの元へ戻って来た。今日は、親友の葵にそのことを相談する予定だった。


「葵ちゃん。ちょっと相談したいことがあるんだけど」

打ち合わせが終わり、帰ろうとすると、葵は編集長に呼び止められた。

葵は今日、神保町にある出版社に来ていた。葵が担当する化粧品メーカーの、タイアップ記事の打ち合わせのためだ。秋冬に向けて、マットな質感の口紅を7色発売するらしい。

老舗メーカーの久々の大型プロモーションなので、葵は最近、この仕事にかかりきりになっている。

葵を呼び止めた編集長は、今年で36歳。4月に、この美容雑誌の編集長に抜擢された。彼女とは、編集長になる前からの長い付き合いで、葵自身も、何度か誌面に出たことがある。

「ハナちゃんって、最近会ってる?」

読者モデルを探していた時、編集長にハナを紹介したことがあった。

「来月号、ファンデーションの読者企画があるんだけど、ハナちゃんにお願いしたくて」

編集長のその依頼に対して、葵は「もちろん」とにっこりうなずき、その場でハナにLINEする。

ハナに撮影の日程を連絡すると、すぐに「了解」と返信が来た。編集長に即座に「大丈夫だそうです」と伝えて、会議室を後にした。

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