赤坂の夜は更けて Vol.7

赤坂の夜は更けて:金曜日の26時。元彼からの電話で帰る女の、下手な嘘

夜更けの赤坂で、女はいつも考える。

大切なものは、いつも簡単に手からすり抜けてしまう。

私はいつも同じところで立ち止まり、苦しみ、前を向こうとして、またつまずく。

29歳、テレビ局の広報室で働く森山ハナは、ひと回り年上のプロデューサー・井上と出会う。

井上へのワガママに歯止めが効かなくなっているハナ。井上が、いつの間にかなくてはならない存在になっていた。


今日は金曜日。

ハナは、担当する新ドラマのポスター撮影に立ち会っていた。

この日はスタジオに缶詰めになり、代理店担当者や制作会社と打ち合わせし、膨大な数のカットを撮る。緊張状態の中で1日を過ごしたせいか、精神的にも肉体的にも疲労はピークに達していた。

22時に撮影が終わりやっと帰れると思ったら、ちょうど部長がやってきた。嫌な予感がした。

「森山、終わったか?飲みに行くぞ!」

部長は飲みに行くことが大好きで、ハシゴ酒して朝を迎えることがしょっちゅうだ。取引先がいる手前、その誘いに「NO」とは言えず、しぶしぶついて行くことになった。

その場にいたスタッフを引き連れ、みすじ通り沿いの地下1階にある焼鳥店『鳳』には、8人が集まった。

ハナは大人数の飲み会が大の苦手だ。

仕事はそつなくこなせても、飲み会だけはいくら行っても慣れない。この世で苦手なことのベスト5に入ると、自分では思う。

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