赤坂の夜は更けて Vol.6

寂しさで始まる恋は本物じゃない?彼氏で埋まらない寂しさを、別の男で紛らわせる女

夜更けの赤坂で、女はいつも考える。

大切なものは、いつも簡単に手からすり抜けてしまう。

私はいつも同じところで立ち止まり、苦しみ、前を向こうとして、またつまずく。

29歳、テレビ局の広報室で働くハナは、ひと回り年上のプロデューサー・井上と出会う。

井上はハナとの関係を、女友だち・静香に相談。どんどん近付く2人の関係は一体どうなる?


「いや、自信がないんだよ。彼女が俺のことをどう思っているか。寂しさの埋め合わせに使われてたら、嫌だろう」

井上と『バー ティアレ』で飲んだ帰り道。静香は赤坂駅から千代田線に乗り、今日話したことを一つ一つ思い出していた。

井上は、本当に用心深い。30代の頃一度結婚に失敗してからは、特に。あのときの井上の憔悴は目を見張るもので、そのときから彼に「触れてはいけない何か」を感じるようになった。

しかし最近、ひと回りも下のハナという女性に恋してから、用心深いのは相変わらずだが、ずいぶん楽しそうにしているように思う。

全く相手にされていないと悔しそうにしながら、生き生きと彼女のことを話す彼の姿に、古くからの友人として安堵とも似た気持ちを覚える。

かつては自分もあんな風に真剣に恋していたのだろうか、とぼんやり考えていると、あっという間に自宅のある表参道駅に着いていた。

【赤坂の夜は更けて】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo