上京10年目 Vol.9

「俺のために東京にいてよ」男友達からの告白のような言葉に、戸惑いを隠しきれない心

―東京にいる意味って、何だろう―。

仕事のため、夢のため、欲望のため……?

上京10年となる節目の年に、人はあらためて問う。

自分が東京にいる意味と、その答えを。

28歳の朝子もその一人。朝子が抱える東京への固執と葛藤は、どこに着地するのだろうか。

18歳で上京した朝子だが、このまま東京にいていいのかという迷いが芽生え、東京と故郷の間で気持ちが揺れ始める。上京を機に別れた地元の元カレ・聡が結婚したことを知り朝子はさらに寂しさを募らせた。


聡の結婚式での笑顔は、しばらく私の脳裏に焼きついてしまい、なかなか離れることはなかった。

このモヤモヤした気持ちを打ち消すのに、手とっとり早いのは仕事だった。

新しい恋なんてそう簡単にできないし、食事会に期待をかけるほどの気力もない。

万全の態勢で臨んだ食事会を終えて、がっくり肩を落として帰ったことは数え切れないほどあるから。

そんな曖昧なことに労力を使うよりも、頑張ればその分結果を出せる仕事の方が、何倍も良い。

そんな風に考えてしまうと、どんどん恋愛から離れていくのかもしれないけど、実際淡々と仕事をこなすことが、一番の精神安定剤になった。

でも、入社して6年経った今。

その仕事でさえ最近は、前ほどの情熱を持てなくなっているのが、認めたくないけど事実だった。

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